てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

私たちはどのようにして死を受容するのか?〜ロスの5段階説を読む〜@すろーす読書会

キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』を読むすろーす読書会。

タイトルから受ける印象と裏腹に、死をプロセスとして捉え、受容に至るまでの5段階説で有名なこの本。

昨日は、ついに5段階目にあたる「受容」の章を、参加者のみなさんと読みました。

 

   
「受容を幸福な段階と誤認してはならない」「受容とは感情がほとんど欠落した状態である」と、これまでイメージしていた「受容」とのギャップに、驚く人もちらほら。
(私も、学生時代に読んで線を引いていたはずなのに、もう一度驚いてしまいました。)
 
また、これまで読んできた5段階のうち、もっとも家族とのズレが生じやすそうと感じる章でもありました。
 
参加者のみなさんとの対話では、主に「受容と諦めのちがい」に焦点が当たりました。
希望や治療可能性の有無、理性と感情、身体的な感覚はどのように影響するのか、しないのか?
「仕方ない」は受容なのか、諦めなのか?
治療可能性はどのように判断されるのか?可能性は多いほうがいいのか?
重要なのは、受容と諦めを識別することなのか?それとも「早過ぎる諦め」とそうでない受容や諦めの違いを識別することなのか?
家族と患者本人とのズレはどのように生じるのか?
患者本人が揺れるなかで、どの意思を尊重するのか迷うことはないか?
などなど。
 
全てのモヤモヤが晴れたわけではありませんが、様々な視点から読み込むことで、一人で読んだときには気づかなかった気づきもたくさん。
学生時代に読んだときより、ぐっとリアリティをもって読めている気がします。
 
 
5段階のそれぞれの段階を論じた章はこれで終わりですが、次回は、5段階を通じて存在するという「希望」に関する第8章を読む予定です。
イベントページができたら、私のウェブサイトでもシェアさせていただきますね。
もうしばらくお待ちください。