松川えりのてつがく日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

『迷子の魂』@スロウな本屋

4月24日(土)は、スロウな本屋さん主催のオンラインえほん哲学カフェでした。

毎回1冊、絵本を読んで、感じたこと考えたことを語り合います。

 

今回の一冊はこちら。

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『迷子の魂』(作/オルガ・トカルチュク、訳者/小椋彩、絵/ヨアンナ・コンセホ、出版社/岩波書店

気になる方は、スロウな本屋さんのオンラインショップからからチェックしてみてください→迷子の魂|オンラインショップ|スロウな本屋

 

 

(以下、ネタバレご容赦ください!!! 特に今回の本は謎がたくさん散りばめられているので、自分で謎を見つけたい方は本を読んでから読むことを推奨します。)

 

前回同様、この本もえほん哲学カフェでとりあげるかどうか、ものすごーく迷いました。

でも、迷った理由は前回とちがいます。

この本、文字が書かれているページがほんの一部しかなくて、ほとんどのページが絵だけ。

いつも対話の前に一度絵本を音読させていただくのですが、この絵だけのページをどんなペースでめくればよいのか、自信がない。

いつもなら、こちらの音読に合わせて画面の向こうのみなさんもお手元の絵本のページをめくってくれるけど、言葉がないページをどうやってオンラインで読み聞かせればよいのか‥‥‥。

 

それでも、どうしてもこの絵本で哲学カフェをやってみたくて、あれこれ考えた結果、こちらのページをめくる音が聴こえるように、あえてイヤホンマイクなしで。

そして、音読する前に、こんなふうにお断りだかフライング謝罪だかわからない一言を添えさせていただきました。

 

ページをめくるスピードが遅すぎると感じたら、それぐらいゆっくりじっくり絵を見てねってサインだと思ってください。

ページをめくるスピードが早すぎると感じたら、ごめんなさい。その場合は、本当にわたしのめくるスピードが早すぎるんだと思います。この絵本に関して、めくるスピードが遅すぎるってことはないと思うけど、早すぎるって感じる人がいたら、たぶんその人の感覚が正しい。

だから早すぎると感じたら、あとで「このページはもっとゆっくりめくったほうがいいんじゃない?」って教えてもらえると助かります。それも考えるヒントにしましょう。

 

事前にこの絵本を読んだ人には、わたしの言葉の意味が伝わったのでしょう。

画面の向こうで、複数の方がうなづいてくださったのを感じました。

実際に読み終えたあと、どうだったか?

「早すぎた」という人はいなかったけど、正直、自分ではちょっと早すぎたような気もします。

でも、前もってみなさんに正直にお伝えしておいて、よかった。

「早すぎても、あとで誰かが指摘してくれるから大丈夫」と安心して、みなさんと一緒に絵本を味わうことができました。

 

 

本当に、謎がいっぱいの一冊でした。

 

2箇所にはさまれた白いパラフィン紙の意味は?

格子のあるページとそうでないページがあるのはなぜ?

一部のページに書かれた数字の意味は?

このテーブルの角の色の意味は?

この植物に色がないのはなぜ?

この絵は消えかけてるのか? それとも現れかけているのか?

植物で満たされた家はこわい? こわくない?

「じぶんにひとこともはなしかけな(い)」と魂が迷子になる?

魂が置いてけぼりになるとか追いつくってどういうこと?

魂はなぜこんな姿をしているの?

魂はヤン自身の姿? ヤンとは別の人か?

魂は歳をとらないの?

魂とヤンが一体化しないのはなぜ?

魂と心は同じ?ちがう?

魂は個人的なもの、それとも普遍的なもの?

 

なかでも、最も時間が割かれたのが、魂がなぜこんな姿をしているのか。

ヤン自身の子ども時代の姿なのか、初恋の女の子の姿なのか、ヤン自身だけど身体とは異なる性別なのか、それとも魂の普遍性を表す天使なのか?

どの見解もそれぞれの「なるほど!」「たしかに!」という説得力があり、互いの気づきをヒントにしながら、さらなる説が展開されてゆくのが楽しかったです。

 

もうひとつ大きく意見が分かれたのおが、「魂と心はちがう?同じ?」問題。

ちがう派のと同じ派の人の方にお話をうかがうと、どうも「心」という言葉で指す意味が異なるよう。

ちがう派の方は、心は瞬間的な感情に関わるもの、コントロールすることも可能なものと捉えているのに対し、同じ派の方は心も瞬間的なものでもコントロールするようなものではなくその人の根幹に関わるものと捉えている。

でも、よくよくきくと「心」という言葉で指す意味が異なるだけで、魂に関する考えはかなり共通してそう‥‥‥そこがとても興味深かったです。

 

それぞれの色の意味、格子のように規則的に区切られた時間とそうでない時間のちがい、魂とヤンの関係などについては、意見が分かれるというより、みんなで少しずつ謎を解き明かしていくような楽しさがありました。

 

ひとりでゆったりめくるのもいいなと思う本ですが、自分ひとりでは気づけなかった謎や発見がたくさなんりました。

ご参加くださったみなさん、スロウな本屋さん、ありがとうございました。

 

さて、次はどの絵本にしようかな〜♪

 

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