まつかわえりのてつがく日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川絵里のブログです。

哲学カフェ「正常ってなに?」

1月24日(水)は、フリーデザイン岡山での哲学カフェでした。

フリーデザインは、生きづらさを抱える方たちの「働く」を応援する就労移行支援センター。

 

freedesign2010.co-site.jp

 

月1回の哲学カフェは、利用者、スタッフだけでなく、どなたでもご参加いただけます。

雪のちらつく平日昼間にもかかわらず、14名もの方にご参加いただきました。

 

テーマは、「正常ってなに?」。

 

開始早々、矢継ぎ早に発言が飛び出しました。

うれしい反面、早すぎると一人一人の話にきちんと耳を傾けるのが難しい‥‥‥。

ブレーキをかけながら自転車を漕ぐような気分で進行しました。

 

  • 「正常」は「異常」の反対?
  • 多数派=正常?なぜそう思ってしまうの?
  • なにを「正常」と思うかは、価値観や環境によって異なる?
  • 「正常」は「正しい」か?
  • 絶対に正しいことは存在する?
  • 人に対して「正常」だとか「異常」だとか言っていいの?
  • normal/abnormalとorder/disorderのちがいは?

 

最初にわっと出た論点を、その後も具体例を交えて行きつ戻りつしながら、徐々に論点が絞られ、思考が深まってゆく展開。

 

たくさんの切り口のなかで、一つ共有できたかなと思うのが「人に対して正常だとか異常だとか言ってもよいか?」という問いです。

これに対して、「機械などの機能に対する評価であって、人に対して用いるのはちがうのでは」「ある行いが不適切だというだけで、『あいつは異常だ』というのは盛りすぎ」などの声。

にも関わらず、ある人のごく一部の行いをみて「あいつは異常だ」と言う人がいるのは、なぜ?

「自分は正常だ」と思い込みたいがための過剰防衛ではないか、という指摘が印象に残りました。

 

また、様々な「正常」や「正しさ」を測る基準が存在するなかで、何が正しいかをどうやって判断すればよいのか、という問いも深く刺さりました。

「みんなが幸せになるのが正しいこと」

「生産性や創造性のある行為はよいと思う」

参加者のみなさんが「みんなの幸せ」や「生産性」を語る、その視野の広さに感動する一方で、自分自身の体験から、同じテーゼが「みんなの迷惑になるから、やめろ」「生産性が下がるから、おまえはくるな」と、不寛容さを招く恐れもあるなぁ、と。

その危険性を補足して、この日の哲学カフェを終えました。

 

マイノリティの問題について考えてきた私にとって、原点を思い起こさせてくれるような時間でした。

参加者のみなさんにも、「寒いなか、参加した甲斐があったなぁ」と思っていただけたなら幸いです。

 

「人を正常/異常と区分するようになったのは、監獄ができてからじゃないか」とご発言してくださった方に、既読かもしれませんが、この一冊をオススメしておきます。

ただし、読んで楽しくなるような本ではありません。どちらかというと暗い気分になる本ですが、このテーマについて考えるにはぴったりの本です。

監獄の誕生―監視と処罰

監獄の誕生―監視と処罰

 

 

 もうちょい、読みやすいものをという方は、こちらをどうぞ。