てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

会話のレシピづくり@フリーデザイン岡山

昨日はフリーデザイン岡山にて、コミュニケーション・カフェでした。
(毎回こまめに手洗いや体温計測を促してくださるのですが、今回はアクリル板などさらにコロナ対策が強化されてました。)

 

2ヶ月前は「雑談って必要?」という疑問についてたっぷり話し合い、かなり充実した対話が繰り広げられたのですが、

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

今回は前回もちらりとご紹介したこちらの本を参考に、雑談に役立つ(?)会話のレシピづくりにチャレンジしてみました。

 

雑談の苦手がラクになる 会話のきっかけレシピ

雑談の苦手がラクになる 会話のきっかけレシピ

  • 作者:枚岡 治子
  • 発売日: 2019/05/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

雑談がうまくなるための本というより、

雑談が「できない」と悩む人が少しでも「できる」ようになるための本。

親しい人とは話せるけど、職場などで「知ってるけど親しくはない」人と、当たり障りない会話をどうするかというための本です。

 

レシピづくりは簡単。

何人か集まって、本に載ってる具体的なシチュエーションで「自分ならどうする?」を書き出してシェアし、「これなら自分もできそう」というものを探したり、感想を語り合いながらポイントを発見したりしていきます。

 

今回は

シチュエーション①朝、出勤する時に駅で同じ職場の人に会い、「雨ですねぇ」と話しかけられた

シチュエーション④オフィスのエレベーターで待っていると、知っている人と一緒になった

シチュエーション⑦職場の飲み会(全員知ってはいるけれど、個人的な付き合いはない人たちと)

の3つについて、それぞれ相手が上司の場合と同僚や部下の場合を想定していろいろ出し合ってみました。

 

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実際に書き出してみると「上司と部下で、自分はこんなに話し方が変わるのか」と気づいたり、自分が思いつかないような策があって

また、この本の面白いところは、苦手な雑談シーンを避ける方法もちらっと載ってるところなんですが、今回の参加者からも「エレベーター前で苦手な人にあったら、忘れ物したふりをして逃げる」「飲み会は席選びが重要」「お酒が苦手だから断っちゃう」などあれこれ出てきました。

特に断るって苦手な人が多いので、具体的にどんなセリフで断るかいろんなバリエーションを聞けたのはよかったかも。

 

雑談の工夫について人に聞く機会は少ないので新鮮でした。

また他のシチュエーションでもやってみたいです。

「一人っ子ってかわいそう?」@大元公民館

今日は大元公民館にて、子育てモヤッとニコッとカフェでした。

子育てに関するモヤモヤからテーマを設定している哲学カフェです。

 

本日のテーマは「一人っ子ってかわいそう?」。

 

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子どもが一人っ子なのを周囲に「かわいそう」と言われてモヤっとした人。

自分が一人っ子で「かわいそう」と言われるたびにモヤモヤしてきた人。

子どもに「妹がほしい」と言われ続け、いざ産んでみたら「妹はいらない、お姉ちゃんがほしい」と言われてしまった人。

何気なく友達に「一人っ子でかわいそう」って言ったら、「なにがかわいそうなの?」と返されてはっとしたことのある人。

 

一人っ子にも兄弟姉妹にも、メリットもあればデメリットもある。

けど、それは「かわいそう」とはちがうのでは?

「大変」と「かわいそう」のちがいは?

そもそも「かわいそう」って誰のことを言ってるの?

 

などなど考えるなかで次第に話題は一人っ子以外の「かわいそう」にも及び、
「こんな薄着で、かわいそう」「こんなに小さいのにメガネ、かわいそう」などなど、

あちこちに出没する「妖怪かわいそう」(というタイトルの掲示板があったそうな)たち。

なぜ、妖怪たちは「かわいそう」と言うのか?

なぜ、私たちはそれにモヤっとしてしまうのか?

 

考えるうちに浮かび上がってきたのは、まず「かわいそう」全般に言えそうなこととして、その人のなかの「普通」を基準に発せられる言葉だということ。

「普通」は時代によっても変わるから「かわいそう」も変わる。

多様な人たちがいる社会では、「かわいそう」と言う人は少ない気がするという声も。

 

また、なぜ子育てしているとやたら「妖怪かわいそう」に出くわすのかについては、妖怪たちは自分とは別のやり方を「かわいそう」と否定することで、自分のやり方を肯定しようとしているのではという指摘も。

特に妊娠・出産に関しては、欲しいけど産めないという場合と、選択して産まない場合とがありますが(その混合バージョンもあるわけですが)、どうも「一人っ子でかわいそう」と言われるのは、ひとり目を産んで3年目ぐらいが多い。*1

5年目ぐらいになると言われなくなるのは、「つくらないんじゃなくて、できないんだ」と思われるからと推測できる。
とすると、「かわいそう」という言葉が投げかけられるのは、親の選択に原因があると思われてる場合で、親の選択が間違っていると言いたいときに「子どもがかわいそう」という言葉が使われているのではないか、といった考察が繰り広げられました。

 

さらに子どもについて「かわいそう」と言われてモヤっとするのは、「未来を人質に取られた感じがするから」という声も。

たとえば、「一人っ子だと、将来、親の介護で苦労するよ」などと言われると、可能性の一つにすぎないのに、実際どうなるかわからないから、その言葉が呪いのように響いてしまう。

 

自分は「妖怪かわいそう」にならないよう気をつけよう!

「かわいそう」と思いそうになったら、立ち止まって「本当に?」と問いかけよう!

と心に誓う対話でした。

 

本当に、子育てってモヤっとの宝庫だし、哲学の種の宝庫だわ。

 

というわけで、次回は、テーマの種となる子育てモヤモヤはきだし会をやる予定。

 

ご参加くださったみなさん、大元公民館のみなさん、ありがとうございました。

*1:松川自身の経験では、子どものいない人が「お子さんは?」と言われるのも結婚3年目ぐらいが多いです。

オンラインセミナーで

今日は、オンラインセミナー「対話の地図の描きかた」でした。


「哲学者の質問レッスン」で「質問がなかなかできない」とおっしゃってた方が、「今日は自然と聞きたいことが湧いてきて、質問できた!」とうれしそうにされていて、こちらもうれしい。

 

そばで見てるほうは、前から「確実にできるようになってるやん!」と思ってるわけですが、成長って自分ではなかなか気づけないものですよね。

 

とも思うけど、sense of wonderに身を委ねるあの感覚が伝わったのなら、きっともう大丈夫。