11月6日(日)午前はスロウな本屋さん主催のえほん哲学カフェ。
今回は『ガラスのなかのくじら』を読みました。
街の真ん中の大きな水槽に住んでいるクジラのウェンズデー。このガラスのなかしか知りません。ある朝、おんなの子がやってきて、ウェンズデーに声をかけます。彼女の瞳は、とおくのとおくに見えている、静かでおだやかなあの「ブルー」と同じ色をしていて……。知らないうちに自由をまちのぞんでいる、すべての人へおくる絵本。(絵本紹介より)
スロウな本屋さんに紹介されたときから、絵も内容も大好きな絵本だなぁと思ったのですが、今日、みなさんと語り合って、ますます好きになってしまいました。
もしかしたら、絵本のなかで一番好きな一冊かもしれない。
絵も、色合いも、物語も、言葉遣いも、なにもかも。
以下、ネタバレご容赦ください
ガラスの水槽の中で暮らすクジラのウェンズデーに、ある日、女の子が言いました。「あなたのほんとのおうちは、ここじゃないわ。あなたのほんとのおうちは、うみよ」。
「わたしのおうちは、ここなのに」と思いながらも、遠くのあの「ブルー」を見たくてたまらなくなって、思いきりジャンプし水槽を飛び出すウェンズデー‥‥‥。
ウェンズデーの姿に、お子さんの未来を重ねたり、自分自分自身を重ねたりしながら、感想や印象に残った箇所を共有していきます。
- 「あなたの本当のおうちはここじゃないわ」という言葉は、おせっかい?
- 「もういっかいだけ」と飛んだジャンプの躍動感と、それまでのジャンプのちがいは?
- ガラスの水槽から飛び出せたのは、その前の逡巡と準備があったから?
- 憧れのブルーとグレーの対比の意味は? 水槽のブルーと海のブルーのちがいは?
- よーっく見ると最初のほうのページから最後のほうのページまで、あちこちに登場するブルーの目の少女パンパーと犬は、なぜそこにいるのか?
- 最初の「みんなのまんなか」と最後の「うみのまんなか」のちがいは? etc...
みなさんのお話をうかがいながら、「そういえば自分にも水槽のなかでもがいているようなグレーな時期があったなぁ」と思い出したり、誰かが指摘してくれなかったら一生気づかなかったであろうパンパーと犬の姿に、「もしかしたら私にもひっそりそばで見守ってくれていた人がいたのかもしれない」と思いを馳せたりしました。
最後に、「自分がいまいるところは水槽なのか海なのかと迷う」という私の疑問に答えてか、「どこでも、自分の捉え方次第で水槽にもなりうるし、海にもなるのでは」と言ってくださった言葉も、印象に残ったなぁ。
「たしかに、そうだ!」という確信までは、今はまだもてない。
けれど、そうかもしれない、そういう視点から自分の現在地を見つめ直してみようかな。
途中出てきた「水槽も水槽で悪くない」という話も合わせて、そんなふうに感じました。
もし身近に、自分の本当の居場所を探してもがいている人や迷っている人がいたら、ぜひおすすめしたい、一緒に読んで語り合いたい一冊です。
ご参加くださったみなさん、スロウな本屋さん、ありがとうございました。
次回は来年になりそうですが、ぜひまたみなさんと絵本と対話の時間を愉しめますように。