てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

相手の考えを理解する質問@徳島県立池田高校

さて、先週は、徳島県立池田高校にもお邪魔してきました。

2年生の探究科のみなさんを対象に、

本日も開催予定の「哲学者の質問レッスン〜初級編〜」と同じ内容を。

 

全員哲学対話は初めてで、進行役は私1名。

(コロナの影響を考慮して、他の進行役を関西からお招きするのは控えました。)

 

1クラス36名で1つの輪になって話すのは勇気がいるな〜。

と、何をするかギリギリまで迷ったのですが、

せっかく補講の時間を使わせていただくのだから、

全員が話せてお互いのことを理解し合えるような時間になるといいな。

と思って、5人グループでそれぞれの「最近、イラっとしたことは?」の奥にあるassumptionを探り当ててもらうワークをしました。

 

最初から活発にやりとりするグループもあれば、

慎重にひとつひとつゆっくり質問を重ねていくグループも。

グループ分けはくじ引きで決めたのに、

はじめましての私でもグループごとの個性が感じられるほどくっきりわかれて、びっくり!

こんだけ個性的なメンバーが集まるなんて、おもしろそうなクラスだな〜。

 

途中、質問が出てこなくて立ち止まる場面もありましたが、

ワークが5周目に突入するころには、

どのグループも立ち止まることなく笑顔で問答する様子がみられてほっとしました。

 

答える以上に質問をするのが難しいこと、

それから、相手の考えを聞くことの楽しさを感じもらえてうれしい。

 

今後の学校生活や探究活動に役立ちますように!

 

「公共とはなにか?」@哲学カフェはりま

先週末は、加古川へ。

定期的に哲学カフェを開いているという哲学カフェはりまさんにお邪魔し、ゲスト進行役を務めさせていただきました。

 

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加古川市東播磨生活創造センター「かこむ」1階ロビースペースにて開催

 

10名の方が集まってくださり、各自消毒と体温チェックの後、なるべくソーシャルディスタンスを保つよう席の配置にも注意して‥‥‥

 

「公共とはなにか?」について対話しました。

 

公共施設、公共交通、公共事業、福祉、医療資源、電気や水道などのインフラ整備といった例とともに、

「“公共”ときくと『みんなのために我慢しろ』と言って騙されそうなイメージがある」

「大きなスーパーマーケットやショッピングモールで子どもが走り回っている」

など興味深いモヤモヤがいくつか。

それと「公共はお金と結びついている」という主張とが絡み合い、「公共における利害関係」が共通の関心として浮かび上がってきたように思います。

 

特に、「“ポツンと一軒家”のために、電気やガス、水道などを維持すべきか?」については、

「1軒のためだけにみんなのお金を使うのは納得がいかない」という意見と、

「そこに住む人には、その人なりの理由がある。『みんなのために』と、そこに住む権利を奪ってしまうのはどうか」

「そこにその人が暮らしてくれていることで、その村の存在と歴史が残るから、もともとそこに住んでいた人たちもうれしいのでは」

などなど意見が分かれ、興味深い議論でした。

 

みなさんの議論を聞きながら、途中提示された公共に関する以下の2つの定義

  1. 共に生きるということ。
  2. 個人ではできないことをするということ。

の深さを感じることができました。

 

哲学カフェはりまのみなさん、参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

 

哲学カフェはりまは、2ヶ月に1回のペースで定期的に開催されているそうです。

お近くで興味のある方がいらっしゃいましたら、ホームページのほうもチェックしてみてください。

 

tetugaku-cafe.jimdofree.com

こどもと大人のてつがくじかん〜てつがくするとはどういうことか?〜

先日、テツドク!の記事のなかでも軽く触れた、こちらの本が手元に届きました!

 

 

愛知県犬山市で、こどもと大人が対話する場を育んできた犬てつの、3年にわたる丁寧な活動記録がとそれに関わった人たちの論考です。

わたしもときおりブログなどで活動をチェックしていましたが、こうしてみると、見逃していた魅力的なテーマがたくさん!

「宇宙人に会ったら何話す!?」「なんでウンコでみんな笑うの!?」などなど。

 

これらの対話でどんな発言が出たかが毎回丁寧に記録され、まるで自分もその対話に参加してるかのように感じられるのもすごいですが、さらに、1年目、2年目、3年目と対話の場がどのように育まれてきたかを感じられたり、実際に参加しているこどものみなさん、大人のみなさんが犬てつという場をどう捉えているかを紹介されていたり‥‥‥いろんな側面から対話実践をリアルに知ることのできるドキュメンタリーな一冊となっています。

 

そして、わたしも、2年目の最後に実施した特別編「てつがく対話で男女共同参画〜ずるい!?〜」にゲスト進行役として関わったご縁で、ほんの4ページですが寄稿させていただいています。

「てつがくするとはどういうことか?」というお題をいただき、犬てつで出会ったみなさんを思い出しながら、小学生のわたしが初めて体験した哲学と、そこから思うわたしなりの「てつがく」について、直球で書かせていただきました。

いつも大切なことを初めて言葉にするときはそうなってしまうように、拙い文章ですが、涙ぐんでくださったメンバーもいるとか。

「犬てつのみなさんなら、拙い言葉でも伝わるはず!」と信じて勇気を出してよかったです。

 

他にも3名の哲学者が同じお題で寄稿されているのですが、どれも、それぞれの哲学と個性がぎゅぎゅっと凝縮して味わえる文章になっております。

 

こどもと大人が対話する場にご関心のある方、対話の場をどのようにつくっていくか迷っている方は、ぜひ、手にとってみてください!

 

 

 

inutetsu.exblog.jp