てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

「合意」そう簡単ではない@中国新聞

こちらでお伝えするのを忘れてましたが、

12月4日の中国新聞朝刊にインタビューを掲載いただきました。

 

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中国新聞 2019年12月4日朝刊

 

今月広島県三原市で、市議会議員のあんどう志保さんとこんな企画をするのですが‥‥‥

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話そう「私と図書館」

 

その話を聞きつけた記者さんがインタビューしてくださいました。

 

 
最初は分断について話を聞きたいということだったので、ホンネを言うと
  • 哲学対話は問題解決には向いていないが、前提のズレを明らかにし、共通の問題を探すのには向いている、
  • 貧困層と富裕層、高齢者と若者など、見えている分断ではなく、それぞれの属性のなかにある細かな相違にも目を向けることが分断に橋をかけるヒントになる

という、もうちょっと前向きなお話もしたかったんですが、それについてはまた別の機会に。

愛着からみるコミュニケーション〜岡田尊司『カサンドラ症候群』『愛着障害』

kindle unlimitedで読めるからという軽めの理由で、こちらの本を読んだのですが‥‥‥

 

 

予想に反して、カサンドラ症候群アスペルガーについてというより、「愛着」についての理解が深まる結果に。

夫婦の愛着タイプの違いからいかにコミュニケーションの悪循環が生じるかの説明が、カサンドラアスペルガーに限らず、自分や周囲の夫婦にも当てはまるところがあり、説得力を感じました。

 

ストレスを受けると、回避型の人は無口になって、自分の殻にこもることで耐えようとする。一方、不安型の人は、多弁になって相談したり、話を聞いてもらったりすることで紛らわそうとする。ストレスへの対処の仕方が正反対なため、両者のストレスが高まったときほど、すれ違いが大きくなりやすいのだ。(カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら (角川新書)

 

夫が回避型で妻が不安型の夫婦もいれば、妻が回避型で夫が不安型の夫婦もいそう。

わたしは共感が苦手というか、共感を求められるのが苦手なのですが、この本に書かれている「相手の安全基地になる」という発想は、なにかヒントになりそうです。

 

 

その後、同じ著者の愛着障害に関する本も読んでみました。

 

愛着障害?子ども時代を引きずる人々? (光文社新書)

愛着障害?子ども時代を引きずる人々? (光文社新書)

 

 

夫婦間のコミュニケーションについて考えるなら『カサンドラ症候群』のほうがオススメですが、こちらはこちらで、愛着アプローチや今勉強中のメンタライゼーションと認知療法とのちがいなど興味深いです。

 

通常の認知療法では、過去の体験は問題にせず、今現在の行動や感情的反応だけを見て、そこから特有の反応パターンやその背後にある考え方のクセを見つけ出し、それを、もっとうまくいく考え方に変えていこうとする。 それに対して、MBT[Mentalization-Based Therapy]では、現在の認知や反応パターンにだけ対象を絞ることはしない。現在の認知や行動を、過去の体験との関係から理解し、それが過去の状況を再現しようとしていることに気づくことで、過去の呪縛を解こうとする。(愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)

 

わたしの発想や哲学カウンセリングは認知療法に近いものがあるけれど、岡田さん曰く、「通常の認知療法なども、それがうまくいくのは、愛着が比較的安定した人」とのこと。

愛着アプローチやメンタライゼーションについて学ぶことは、哲学的アプローチの限界を知っておくという意味でも、大事かも。

対話読んで考える「嘘をつくのはいつも悪いこと?」

11月21日(木)は、就労移行支援施設のフリーデザイン岡山で、2ヶ月に1度のコミュニケーション・カフェ。

生きづらさを抱える人の「働く」を応援する施設で、コミュニケーションのコツやポイントを毎回1つずつ学んでいく利用者向けのプログラムです。

 

今回は、『中学生からの対話する哲学教室』より、「嘘をつくのはいつも悪いことか」の淳と祥子の対話を読んでみました。

 

中学生からの対話する哲学教室

中学生からの対話する哲学教室

 

 

以前やったドラマを観てコミュニケーションの実況・解説をしてみよう!の、文章版のつもりだったのですが、ランチ後の時間に文章読むのは眠くなってしまうことが判明(汗)。

あと、文章だとどんな場面かイメージしずらそうな人も‥‥‥。

やっぱり、コミュニケーションの実況・解説は、ドラマのほうがいいのかなぁ。

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

でも、先約のいとこに嘘をついて意中の相手の誘いにのるかどうか迷う祥子の立場だったら、どうする?と考えてみた結果、全員異なる答えが出てきたのは面白かった!

 

先約優先で意中の相手の誘いをきっぱり断る人。

いとこに正直に話して、意中の相手の誘いにのる人。

嘘はつかないけど、あえてぼかして「用事ができちゃった」という人。

決められないから、いとこに正直に相談しちゃう!という人。

先約優先して後悔しそうだから、嘘も方便だ!(ただし、相手による)という人。

 

 

いろんなコミュニケーションの選択肢と、その奥にある考え方がきけました。

 

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※カードダイアローグ用のカードを活用してみました。

 

次回は、どんなことをしようかな〜?