今日の午前中は、フラワー読書会でした。
性被害やジェンダーに関する本を毎回1冊とりあげ、語り合い、考える。
私たちなりのフラワーデモとしてはじめたこの取り組み。
本の内容と自分たちの経験を照らし合わせながら語り合うので、ジェンダーについて語る実践練習のような一面もあるし、自分自身に向き合う時間にもなっています。
今回は、岩波ジュニア新書より『10代のうちに考えておきたいジェンダーの話』をとりあげました。
この本、正直、物足りないと思う人もいると思う。
ただ、そこが本の長所でもある。
先鋭的でも専門的でもない。
そのぶん、現代のジェンダー問題やそれを理解するために必要な基本用語や知識を、ときおりデータや学校でのロールプレイの様子やコミックなども挟みつつ、わかりやすく偏りなくおさえてくれている一冊です。
これまでジェンダーの問題にあまり関心がなかったり、学びそびれてきた人にも、優しい。さすが岩波ジュニア新書!
だから、いろんな人と考えるベースをつくるのに、ぴったり。
この本のなかで触れられている数々の問題について、私は「早く過去のものになってくれ!!」と思ってる。そういう意味では、言い方は悪いけど、早く時代遅れになってほしい内容ではある。
けど、たぶん、いまの10代の人は、まだこれらの問題に巻き込まれるのを免れられないと思うし、いま10代の人と接する機会のある人には、全員に読んでおいてほしいぐらい。ジェンダーにまつわるジェネレーションギャップを埋めるためにも、必要だと思うから。
以下、ネタバレ注意です。
今日のフラワー読書会では、特に
- 「認める」は上から目線?
- 相手に土足で踏み込むことなく、理解するには?
- 他の人とちがう特性について、「なんで?」といちいち理由をきかれて、エネルギーを消耗しちゃう問題
- 「社会規範に従った方が葛藤なく生きられる」は本当か?
- コミュニティのなかで期待される役割と、自分自身が本当にやりたいことのズレ
- ジェンダー規範や「管理」によって生じる無価値感
について、おもちゃや一人称をとおして幼児期に感じたジェンダー規範、友人のカムアウトをどう受け止めたらよかったか、家族からの期待と自分のやりたいことなど、参加者で経験を出し合いながら、考えることができました。
なんというか、他者を傷つけないためにも、自分自身を大切にするためにも、知っておいたほうがいいこと、立ち止まって考えてみたほうがいいことって、やっぱりあるんだなぁ。
何も知らず考えずに規範に沿った人生のほうが一見安らかに見えるかもしれないけれど、やっぱり長期間になると小さな疲労感が蓄積してしまう。
少しずつ変化しつつあるけれど、なかなか変わりきらない現実のなかで、自分を殺さず他者を尊重しながら生きるために、どうしよう。何ができるだろう。
そんなことを考えながら、みなさんの山あり谷ありの人生を労いあう、あたたかな時間になりました。
そして、個人的には、北海道大学の研究プロジェクトで明らかになった「ためらいを促す教育」の必要性を、改めて実感しました。
ジェンダー規範を押しつけないライフデザイン教育を、つくろう。
本は、スロウな本屋さんのオンラインショップでご購入いただけます。
10代のうちに考えておきたいジェンダーの話|オンラインショップ|スロウな本屋
別の人と語り合ったら、また別のポイントについても深掘りできそう。
フラワー読書会をとおして、ますますいろんな人と語り合いたくなりました。
そして、この本のなかで紹介されてたコミックも気になって読んじゃいました。
「現代人だろ! 徹底的に話し合え!!」が気になって購入。
「僕はこどもで、勇気がなくて、迷ってばかりだけど、僕は僕を殺さなくていいのだと、だいぶ思えた」という言葉を、お守りにしたい。
哲学カフェ尾道に通う方には、見たことのある景色がたくさんでてきて、それもまた楽しい。
どちらもおすすめです。
そして来月は、ひさしぶりにえほん哲学カフェ。参加者募集中です。