てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

「“お母さんらしい”“お父さんらしい”ってどういうこと?」@大元公民館

昨日は大元公民館にて、“子育てモヤっとニコっとカフェ”を開催。

子育て中の方が対象の哲学カフェです。

お馴染みさんに加え、初めての方が4名も来てくださいました。

 

「“お母さんらしい”“お父さんらしい”ってどういうこと?」というテーマをきっかけに出てきた話のポイントをあげると、こんな感じかなぁ。

 

  • “お母さん”という世間的イメージからくるプレッシャーあれこれ
  • 等身大の自分のまま親になるってどういうこと?
  • “お母さん”“お父さん”のモデルイメージってある?
  • 子どもの前でパートナーのことをなんて呼んでる?それはなぜ?
  • 自分の一挙一動を子どもが真似してしまう問題(親になったらやめるべき?)
  • 子育ては母親だけ、親だけがやること?(子育ての責任を分散するには?)

 

どれも興味深かったけど、今回のテーマから、パートナーのことをなんて呼んでるかという話が出てきたのが意外!

「等身大の自分のまま家族に必要なことをやってるから“お母さんらしく”って考えたことはない」という人が、その一方で、夫婦二人のときは名前で呼び合うけど、子どもの前では互いに“お父さん”“お母さん”って呼び合ってることが判明したり‥‥‥。

そういう、普段は意識せずに自然にやっていることのなかに、その人なりの哲学が潜んでいそう。

 

みなさんのお話をうかがいながら、“親でいる”ことと“親らしくいる”ことはどうもちがうんじゃないか、なんてことを考えさせられました。

 

次回は1月。「“ほどほど”ってどれぐらい?」。

子育てのいろんな場面で出てきそうな疑問なので、どんな話がでてくるか楽しみです。

 

オープンミーティング「終わりは始まりー“CCCSCD”で岡山芸術交流を語りあう」

11月23日(土)の夜は、後楽園から旭川をはさんで向かいにあるカフェ、CCCSCDへ。

岡山芸術交流2019のクロージングイベントに登壇させていただきました。

 

www.okayamaartsummit.jp

 

昼間、牛窓オリーブ園で哲学ウォークのあとで間に合うかどうかギリギリだったので一瞬断ろうかとも思ったのですが、今年は3年前の前回以上に‥‥‥

  • パブリックプログラムをとおして、ピエール・ユイグの「もし蛇が」に“てつがくやさん”なりに応えてみたぜ!*1
  • 現代アート音痴なりに、芸術交流の楽しみ方が掴めてきた!

という手応えがあり、ぜひ3年後に繋げたい!と思って駆けつけました。

なんとかギリギリ間に合って、よかった!

 

関連企画、サポートスタッフなど、それぞれの仕方で岡山芸術交流に関わってきた岡山在住の人たちが集結。

会期中は自分の担当で忙しく、この日が初めましての方もいましたが、それぞれの視点から貴重なお話をうかがうことができました。

特に、現代アート音痴のわたしが感謝してやまない会場スタッフの方(さりげなく、とっつきにくい作品を楽しむヒントをくださいます)のお話をうかがえてよかった!

あと、“こどもナビ”のお話も、こども哲学の参考になりそうなヒントがちらほら。

正直、会期中は自分の企画でいっぱいいっぱいなので、こうやって他の方のお話をうかがえる機会があってありがたい。

 

「オープンミーティング」らしく、それぞれの視点から、そして来場者のみなさんからも課題も出し合えたのも、とてもよかった。

「終わりは始まり」ということばにふさわしい会だったのではないでしょうか。

企業母体の財団と岡山市岡山県といった、仕組みのちがう組織がともに実施するうえで難しいことも多々あるかと思いますが、3年後に向けて、わたしなりにできることを今から始めてみようと思います。

(とりあえず、3年後の自分のスケジュールを確保しておくところから!)

*1:もしかしたら、アーティストもこんな感じでユイグのお題に向き合ってるのかも?

哲学ウォーク「働くってどういうこと?」

昨日11月23日は、牛窓オリーブ園へ。

最っ高!のお天気のなか、哲学ウォークをしてきました。

 

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哲学ウォークとは、オランダの哲学者ピーター・ハーテローさんが考案したワーク。

哲学者の言葉片手に、その言葉に関連するスポットとコンセプトを探して歩きます。

スポットとコンセプトが見つかったら、「ストップ!」

みんなでシェアし、それに対して他の人から質問をしてもらいます。

もらった質問から1つ選んで、残りの行程はその質問の答えを考えながら歩きます。

 

ci.nii.ac.jp

 

今回は、勤労感謝の日ということで、「働く」に関連しそうな哲学者の言葉をピックアップ。

みなさんが見つけたコンセプト、考えた質問とともにざっとご紹介しましょう。

 

立派にやり遂げたことに対する報酬は、それをやり遂げたことそのものにある。(ヴォルテール

コンセプト:ごほうび

選んだ質問:やりたいことをやる場合とやらされる場合と、ごほうびのちがいは?

 

偉大なことを成し遂げる人は、つねに大胆な冒険者である。(モンテスキュー

コンセプト:人工物

選んだ質問:どんなときに冒険したい?

 

はじまりは、仕事の最も重要な部分である。(プラトン

コンセプト:はじまりとは?

選んだ質問:はじまりは自分で決めるもの?ひとに決められるもの?

 

障害において最も大切なことは職業の選択である。しかし、それは偶然によって決まる。(パスカル

コンセプト:偶然

選んだ質問:偶然と必然のちがいは?

 

最も平安な、そして純粋な喜びの一つは、労働したあとの休息である。(カント)

コンセプト:積み上げる

選んだ質問:積み上げる以外に労働のイメージはある?

 

能力は、決してその需要に追いつくことはない。(老子

コンセプト:成長

選んだ質問:能力が需要においついたことはある?

 

働く喜びが、仕事を完璧なものにする。(アリストテレス

 ※時間ぎれでコンセプト、選んだ質問はなし。のちほど「仕事を完璧にするものには、働く喜びだけでなく技術もある」という説を出してくださいました。

 

 

1時間半ほどゆっくり歩いたあとは、キノシタショウテンこだわりのドリンクが楽しめる園内のカフェ、山の上のロースタリへ。

 

prtimes.jp

 

それぞれが考えた答えや哲学者の言葉、それぞれの経験をヒントに、「働くってどういうこと?」について考えした。

学生さんからの「学ぶことと働くことのちがいは?」という疑問から、「しないことが仕事になることはある?」、「する/しないの境界は?」など、ノリよく短時間ながら濃い思考が繰り広げられました。

 

ご参加くださったみなさん、オリーブ園のみなさん、ありがとうございました。

 

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