てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

「ゆっくり」から見えてくるもの(朝日新聞・沢村亙)

朝日新聞の沢村亙さんが、2月の哲学カフェの尾道を取材し、コラムに書いてくださいました。

 

digital.asahi.com

 

えほん哲学カフェを一緒に開催しているスロウな本屋さんのことも書いてくださっています。

 

ゆっくりじっくり対話し考える。
ただ楽しいからはじめた活動。
民主主義とどうつながるかなんて、考えてなかった。
(先輩たちのなかには早くから指摘していた方もいたにもかかわらず。)
 
けど、さまざまな人との対話のなかで、その社会的な意味についても気づかされる今日この頃。
よりはっきり認識したのは、ある弁護士との対話のなかでした。

法律家にできるのは法律を使うだけ。依頼者に『なんでこんな法律になってるんだ』と怒られても、共感はできても、法律そのものを変えることはできない。

法律をつくるのは国民。だから、哲学カフェのような、地に足つけてじっくり考える機会が大事やと思う。

 

私は教育者でも運動家でもない。“てつがくやさん”だ。
「あなたはこれを学ぶ必要がある」「こういう世の中にすべきだ」と自分から価値を推していくより、「哲学対話がしたい」というニーズのある人に哲学する機会を提供するという商売人的なスタンスのほうが合ってる。
間接民主制の限界を感じることも多く、「民主主義、万歳!」って気持ちにもなれない。
けど、自分が商売人として「欲しい」と言ってくれる人に提供しているもののが、自分が生きてる社会をちょっとでもよい方向に耕してくれる可能性があるなら、それはそれでうれしいなぁ。
 
今後も「民主主義のため」ではなく、ひとりひとり目の前にいる人のために“てつがくやさん”をしていくだろう。
けど、同時に「いまこの瞬間、民主主義の土壌を耕しているかもしれない」ぐらいのワクワク感を抱いて、哲学と対話に励もうと思います。