てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

『魔女になりたかった妖精』@あわくら図書館

3月7日(日)は、智頭急行へ乗って、ひさしぶりに西粟倉へ。


あたらしくできた木造の素敵な図書館(ほとんど地元でとれた木材で建てられているそうです。これぞ、地産地消!)で、木の香りを感じながらの、えほん哲学カフェ。

 

鉄筋を使わず広い空間を支えるためという梁が特徴的。

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卓球台のある多目的ホールも。

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林業雑誌の充実ぶりも、さすが西粟倉

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哲学カフェの会場はこちら。

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そして、テーマ代わりの一冊がこちら。

 

本屋さん主催のえほん哲学カフェでは、店長さんおすすめの新しい絵本に出会えますが、今回は絶版になってるわたしのお気に入りの一冊を他の図書館から取り寄せていただきました。

これも、図書館だからできること。

 

「自由な暮らしにあこがれ、魔女になりたいと家を飛び出していく妖精の娘」と「魔女になりたいという娘を止めようとするお母さん」のお話です。

 

以下、ネタバレご容赦ください。

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場所のもつ意味

オンラインとオフラインを行き来したり、哲学ウォークのまた新しいヴァージョン(来週高校生とやる予定)を考えたりして、また、場所のもつ意味が気になり出しています。

 

オンラインで、以前なら気軽には会えなかった人と気軽に会える。

それは、間違いなくうれしい。

けど、だからこそ、そうした人とのつながりには還元されない場所のもつ力を感じてもいます。

 

たとえば、antenna Coffee Houseで、日常と非日常についての対話のなかから生まれた、コーヒーフロートの非日常性をめぐる探究。

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

マスターである山口さんが尾道に惹かれ、移住してこの地でお店を開くことを決め、古民家を改装した店内をコーヒーの香りと懐かしい音楽で満たす。

その空間を気に入ったお客さんが、「尾道にも哲学カフェを」と開かれた哲学カフェに参加するようになり、「せっかく尾道まで来たし」とコーヒーフロートを注文する。

「このお店、コーヒーフロートもあるんだ!」という雑談と、その日のテーマ「日常って、何?」が交差する。

「コーヒーフロートに非日常性を感じるのはなぜ?」という問いが生まれるまでには、いくつもの偶然が重なっているようでいて、全くの偶然というわけでもない。

場所には、私たちにそうするよう促す引力のようなものが働いている。

 

 

一方で、なにかしらの引力が働いているその場所に、私たちはちょっとした奇跡を感じもする。

それは、どの「ここ」もそこにしかない唯一無二のものだからだ。

場所は分散して存在することができない。

だから、「そこにいた」ということ、とりわけ何かや誰かと「居合わせた」ことは、常に希少性を帯びた出来事となる。

尾道のあの坂道の麓にあるantenna Coffee Houseというあの場所で、ある日、コーヒーフロートと「非日常とはなにか」という問いと私が居合わせた。

あの日の尾道の空気、コーヒーの香り、音楽と混じり合う食器の音、明るすぎない室内を賑やかす参加者たちの服の色、グラスを伝う水滴とともに。

そこでコーヒーに溶け出すアイスクリームを眺めながら展開された非日常性の探究は、いまここでコーヒーフロートの写真を見ながら巡らせる考察とは、全く異なる味わいをもつ。

たとえ、その考察内容が全く同じだとしても。

哲学対話での探求は、常にこのような「居合わせ」とともにある。

 

 

 

以下、「場所」関連で気になる本。

場所の運命 哲学における隠された歴史

場所の運命 哲学における隠された歴史

 

 

中村雄二郎著作集 (10) トポス論

中村雄二郎著作集 (10) トポス論

 

 

会話のきっかけレシピづくり@フリーデザイン岡山

2月末にフリーデザイン岡山のプログラムとして開いたコミュニケーション・カフェでは、またまた会話のレシピづくりに挑戦!

というか、ただしくは「会話のきっかけレシピ」でした。

 

 こちらの本を参考に、

 

前回は午後組のメンバーとでしたが、今回は午前組のメンバー(利用者さん+スタッフさん)と一緒に、以下の3つのシチュエーションについて、「自分ならどうする?」を書き出してシェア。感想を語り合いました。

 

シチュエーション②休憩時間(休憩時間に休憩室で会った職場の人に、「いくら寝ても眠いよ」と話しかけられた

シチュエーション③オフィスでのすれ違い(用事で自分の席を立ってよそへ行くとき、知っている人の横を通りかかった)

シチュエーション⑥一緒に軽作業(同じ部署だが、そんなに親しくない人と)

 

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同じシチュエーションでも、「会釈だけ」「挨拶だけ」という人もいれば、「最近どう?ときいてみる」「自分がこれからする仕事内容を伝えておく」という人も。

また、それぞれのシチュエーションについて、相手が上司の場合と相手が同僚や部下の場合を考てみようと本で提案されているのですが、それ以外にも、「急いでいるとき」「時間があるとき」「相手が話したそうなとき」「あまり話したくないとき」などなど、いろんな場合がでてきました。

 

どんな理由でどんなふうに雑談のきっかけをつくったりつくらなかったりしているのか、ふだん人にきく機会はなかなかないので、おもしろい。

「なんとなく」している日常の小さな言動にも、他の人のと比較しながら、自分でなぜそうしてるのか理由を考えてみると、ちゃんと理由があるんです。

こうしてコミュニケーションについてコミュニケーションできる、つまりメタ・コミュニケーションできるのが、哲学カフェと共通して楽しいところだな。

 

みなさんも、ぜひお試しください。