てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

ピーター・B.ラービ『哲学カウンセリング:理論と実践』

 前から読まなきゃ読まなきゃとおもいつつ、つまみ食いして放置していた哲学カウンセリングの本を読みました。

 

哲学カウンセリング―理論と実践

哲学カウンセリング―理論と実践

 

 

前半は、ひたすら「こういう見解もあればこういう見解もある」って感じなので、実践経験がないと、ちょっとわかりにくいかも。

けど、「哲学カウンセリングはセラピーか?」議論や、ラービが心理療法と哲学カウンセリングを区別するポイントとして教育的要素を挙げている点など、なかなか興味深かったです。

 

ラービは、「そこ、ちゃんと明確な形で教育的要素を取り入れようよ」って主張らしいけど、わたしはそこまでは思えない。

けど、たしかに、哲学カウンセリングは、クライエント自身が哲学しないと成立しない気がする。

となると、(わたしに教育しようという気は全くなくても)クライエントに、なんらかの仕方で哲学することを学んでもらっているとは言えるかもしれない。

 

他にも関心ある人がいたので、ちょっとした勉強会を開いてもらって、

 

「『相手を変えようとしてはいけない』(by.アッヘンバッハ)ってどういうこと?」

「原因-結果関係ではなく、理由-行動関係で問題を扱うってどういうこと?」

など、ご質問いただくことによって、わたし自身の理解も深まりました。

 

最近、1対1の哲学カフェもちょこちょこ実践しているけど、少しずつお仕事としてカウンセリングするときのコツもつかめてきたので、来年には自分の定番プログラムの一つとして定着させていけるといいな。

働くってどういうこと?@Ziba Platform

11月23日は、津山市にあるZiba Platformにて哲学カフェをしてきました。

勤労感謝の日ということで、テーマは「働くってどういうこと?」。

 

哲学カフェ in Ziba platform 『働くってどういうこと?』

 

10代の高校生(!)から60代の定年間近の方まで、幅広い年代の方8名(+スタッフの方)が参加してくださいました。

 

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2018.11.23「働くってどういうこと?」@Ziba Platform

 

印象深かったのは、「仕事なんて1回決めたらそうそう変えられないだろうし、自分に合った仕事を選べるかな?」「やりたいことと現実との折り合いをどうつける?」と現実的の厳しさを懸念する、「まだ働いたことがない」という高校生2人。

そしてそれとは対照的に、「合わなかったら転職もあり」「やりたいことやるために転職しました」「たしかに家族のことも考えなきゃいけないけれど、いまは家族を守るのがやりたいことだから我慢したり折り合いをつけるという感じではないな」「人生には、ガムシャラに働く時期もあっていい」などなど、ポジティブな考えの働く人たち。

 

年代問わず参加者の過半数が転職経験あり(なかには起業計画中の人も)だったのにも、働くことが明るくポジティブに捉えられていることにも、高校生たちはとても驚いていました。

たしかに、私がやってきた哲学カフェのなかでも、今回の参加者ほど、働くことをポイジティブに捉えている人たちが集まったのは珍しいかもしれません。

 

なぜ、これほどポジティブに働くことを捉えられるのか。

話していくうちに明らかになった、今回集まった働く人たちの共通点。

それは、常によりよい仕事や働き方を模索しているということでした。

転職経験のある人も、ない人も。

働き始めて数年の人も、定年間近の人も。

社会に貢献しようとしている人も、自分自身を見つめる人も。

 

そして、その前提としての、人も環境も変化したり成長するものであるという認識。

ずっと同じところに勤めている人も、その都度自分を見つめ、よりよい働き方を考えてきた結果、同じところで成長したり立場を変えて働くことを選んできたのであって、ずっと同じ状態であるわけではないということ。

 

転職するにしろ、同じ職場に勤め続けるにしろ、やってみないとわからないことはたくさんある。

となると、高校生から湧いてくるのは「わからない不安にどう向き合う?」「どうしたら、その勇気が湧いてくるの?」という疑問。

 

それには、たしかに一生の仕事を決めるとなると怖いけれど、「今からでも、少しずつ試してみては?」という答えが返ってきます。

関心ある分野の本やパンフレットを読むなど、高校生でもできることはある。

そうした小さな一歩を、少しずつ、ときに軌道修正しながら、重ねていくこと。

 

高校生と働く人たちのギャップから、「働くことは、変化し続けること」が浮かび上がってくる対話でした。

 

ご参加くださったんみなさん、Ziba Platformのみなさん、ありがとうございました。

 

Ziba Platformでは、他にも様々なイベントが催されているほか、普段はカフェやコワーキングスペースとしても開かれています。

お近くの方は、どうぞお立ち寄りください♪

 

理解と共感どうちがう?@フリーデザイン岡山

昨日11月28日は、フリーデザイン岡山で、コミュニケーション・カフェでした。

月に1回、利用者向けに、1つずつコミュニケーションのポイントをとりあげ、和やかに対話しながら学びます。

 

昨日は、以前、公民館でも好評だった「理解と共感どうちがう?」を取り上げました。

 

※公民館での様子はこちら↓↓ 久しぶりで内容忘れてたので、書いといてよかった...。

matsukawaeri.hatenablog.com

 

①ウォーミングアップ

コミュニティボールをつかって、一人ずつ「最近の『わかるわ〜』」と「最近の『わからんな〜』」を話していきます。

 

②プチレクチャー:理解と共感のちがい

何度かこのテーマをとりあげて話し合ってきた経験上、感情と理性のちがいではうまく説明しきれないことがわかってきたので、以下のように説明することにしました。

 

  • 共感=相手との共通点を見つける力
  • 理解=自分とは異なることを認める力

 

③プチワーク:理解フラッグ、共感フラッグを使ってみよう♪

みんなの「わかるわ〜」や「わからんな〜」についてについて、

共感した場合はピンクにハートの共感フラッグを、

共感できないけど理解はできるときは黄色い理解フラッグをあげ、

その理由を話し合いました。

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共感フラッグと理解フラッグ(制作:中央公民館、写真:佐々木大輔

 

今回は、幕内弁当を選ぶ人、岡山駅のトイレの場所のわかりにくさ、紅葉の美しさ、クリスマスに浮かれる気持ち、マラソンを走る人の気持ちなどなど。

和気藹々とおしゃべりしながら、それぞれの共感ポイント、理解ポイントを確認しました。

同じ共感フラッグをあげた人でも、それぞれ共感ポイントがちがっていたり。

理解フラッグをあげた人も、どこが理解できてどこが共感できないのか聞くとなるほどと思ったり。

理解フラッグと共感フラッグを使って対話することで、同じ事柄について捉え方のちがいが聞き出しやすくなる気がします。

 

次回は、共感や理解が難しいときのために、こわくない質問のコツを取り上げる予定。

フリーデザインの哲学カフェは、短時間の割に濃厚なことが多いので、コミュニケーション・カフェのほうは、今回のように、ゆるりと楽しく雑談力をつけていく感じで続けていけるといいな。