てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

シャベリカ×交差点ワーク@フリーデザイン岡山

昨日1月16日(木)は、就労移行支援施設のフリーデザイン岡山にて、利用者を対象としたコミュニケーション・カフェをしてきました!

 

今回は、シャベリカというカードを使っておしゃべりしたあと、同じネタで、相手と自分の共通点や相違点をさがす交差点ワークをしてみました。

 

teamgame.stores.jp

 

1枚に1つずつ、おしゃべりのお題が書かれたトランプ。

いろんな遊び方があるようですが、箱に「ババ抜きで最後に残ったカードのテーマをみんなで話してもいい」って書いてあったので、やってみようとしたけれど、「それだとババが最後に残るから、最初からお題がわかっちゃうじゃん」と参加者からご指摘。

そこで、ジジ抜きをすることに。

 

1回目に残ったジジは‥‥‥

 

「私、大人になったな」と思う瞬間

 

 気持ちの切り替えができるようになったとき、苦手だったものが食べられるようになったとき、コーヒーをブラックで飲めたとき、一人暮らしをはじめたとき、などなど、いろんな「私、大人になったな」が出てきました。

1名、「逆に、最近子どもに戻ってる気がする」という変化球な答えも!

そうそう、コミュニケーションって、必ずしも直球で答えなきゃいけないってわけじゃないよね、と確認しつつ、楽しかったのでもう1戦。

「今、これにハマっています」についておしゃべりしてから、2組に分かれ、最初の“「私、大人になったな」と思う瞬間”で交差点ワークをやってみました。

 

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残り時間が少なかったので共通点だけでいいかなと思ったけど、相違点まで見つけてくれたグループも!

他の人との共通点や相違点を探るためよくよく聞いてみると、同じ「ブラックコーヒーが飲めるようになった」と答えた人でも、努力して段階的にできるようになった人と、あるときふとやってみたらできたという人がいることが判明したり、おもしろい発見がいろいろありました。

 

よく「会話が続かない」「話が深まらない」という悩みをききますが、こうやって共通点や相違点を探しながら相手の話をきくと、全然ちがう回答の人にも共感できる点が見つかったり、相手の意外な一面を知れたりして、盛り上がりやすいのではないかな〜と思います。

 

そして、このワークシートとシャベリカの組み合わせは初めて試してみましたが、トランプで遊んで場があたたまったタイミングでできるのが、いいですね!

お題によっては交差点ワークがやりにくいものもありそうですが‥‥‥。

今回はゆる〜くコミュニケーションについて学ぶ場ということで、参加者の方とそのあたりも相談しながら進められたのがよかったです。

 

「家族の気持ちってどれぐらい大事?」@岡山大学病院

1月12日(日)は、岡山大学病院のある岡山大学大学院医歯薬学総合研究科で、若手の医療者や学生さんを対象とした哲学カフェでした。

 

今回は、「家族のためのがんカフェ」や「遺族のためのがんカフェ」などを開いている“第2の患者会すろーす”とのコラボ企画。

すろーすの代表、菱沼さんが「医療者のためのがんカフェもやってみたい!」と提案してくださったテーマは、「家族の気持ちってどれぐらい大事?」。

企画当初は“がん”をテーマにと思っていたのですが、打ち合わせを重ねるなかで、本当に聞いてみたいのは「家族」についてなのではと気づき、このテーマになりました。

 

いやはや、予想をはるかに超える濃い経験がたくさんでてきて、よい意味で重い回でした。

 

最初のうちは、医療者としての経験がちらほら。

治療のプロセスのなかで、患者さんの気持ちを最優先するときはどんなときで、家族の気持ちを重視するのはどんなときか。

娘さんの「生きていてほしい」という希望を、患者さんご本人はどう受け止めていたのかという長年のひっかかり。

毎回5〜6人で病院にやってきて、みんなであーだこーだと今後の治療について話し合う姿が印象的な家族。

ともに協力し合えるはずの医療者と患者の家族が、敵のような関係なってしまったケース。

 

中盤あたりからは、自身が患者や患者の家族としてした経験‥‥‥

自分の病気を心配する親のお節介対する複雑な気持ちに、

幼い頃にお父さんを亡くした方が、これまで話したことのない気持ちを言葉にして、思わず涙ぐむ場面

‥‥‥などなども交えながらの展開。

 

医療の話しかできないテーマは避けているので、これまでもみなさんの医療者とは別の顔や暮らしが垣間見えることはありましたが、今回は、医療者であるみなさんの患者や家族としての姿、患者や家族としてどのように病いや死を受け止めてきたのかが伝わってきて、言葉になりきらない思いがたくさんたくさん溢れてきました。

 

そして、そんななか「家族とはなにか?」に関してでてきた、いくつかの気づき。

個人と個人の関係性として存在する家族と、渾然一体となり個人と個人に切り離せない塊のようなものとして存在する家族。

親友と家族のちがいからみえてきた、家族ならではの責任感や負い目。

どんなに想っていっても、共有できない痛みや身体的感覚。

 

これは個人的な感想になりますが、患者や家族の視点からの「家族と病」がありありと浮かび上がっきたぶん、医療者の立場からしか見えない家族の姿があることにも気づかされました。

終了後、そんな感想を語っていると、看護師でもある菱沼さんは「医療者といっても、医師と看護師でもまた見えてくるものがちがってくるんじゃないかなぁ」と。なるほど!

 

今回は、主に「家族とはなにか?」が主な焦点になりましたが、途中出てきた、「相手の気持ちを尊重することと、相手のプレッシャーのせいで言うことをきかざるをえない状態は、見分けられるか?」という観点もまた、「気持ちを大事にするってどういうこと?」という点に関する重要な論点だったかと。

 

岡山大学病院と第2の患者会すろーすとのコラボ企画は初めてでしたが、大変充実した時間だったので、チャンスがあればぜひまたお願いしたいです。

 

ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

対話をつくるエッセンス② 相手を理解する質問

レポートを書きかけのまま、下書き状態でまた新しい対話‥‥‥

というのを繰り返し、下書きばかりがたまっていく今日この頃。

 

さて、先週末1月11日(土)は、10月に台風の影響で延期になってしまった、てつぷらゼミの第2弾、対話をつくるエッセンス②相手を理解する質問でした。

 

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これまでに同種のセミナーを受講されたことのある方が数名おられたので、いつもより補足多めに「相手の考えを理解する質問って?」「そもそも相手の考えを理解するってどういうこと?」についてお話したあと、質問の練習。

今回は、5人1組で、「最近、イラっとしたことは?」の奥にあるAssumptionを探してもらいました。

 

考えを理解するための質問をするはずが、ついつい事実を知るための質問になってしまい、四苦八苦‥‥‥という場面もありつつ、練習を重ねるごとに意外なAssumptionが垣間みえたり、各グループで笑い声がおきたり。

 

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特に最初は難しく感じますが、練習を重ねれば重ねるほど、相手の考えをきくのが楽しくなってきて、上達してきます。

コツは、相手のなかに大切な思考が埋まってると信じてつつ、「数打ちゃ当たる!」の精神で、ハズレもヒントにしながら楽しくきくことかな。

 

ぜひ、ふだんの暮らしのなかでもご活用いただければ!

 

そして、これにて今年度のてつぷらゼミ3回を終了しました。

どの回も楽しく、予想以上に濃い回でした。

ご参加くださったみなさん、てつぷら岡山のスタッフさん、ありがとうございました!

 

 

※追記(1/16)※

そういえば、ワークの前に、私の「最近、イラっとしたこと」=「3層プリンをスーパーの店員さんが上下逆にカゴに入れちゃった」をサンプルにあれこれ質問してもらったのですが、それも楽しかったです。

「プリンを崩す権利」という言葉がでてきたとき、「それやー!!」って思いました。

わたしは、プリンを崩す権利を買ってるのです。笑