松川えりのてつがく日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

「かけてもいい迷惑、いけない迷惑」@antenna Coffee House

ブログに書きたいことがありすぎて、しかし言葉になりきらず、書きかけの記事ばかりが溜まって困っている今日この頃ですが、

いいかげん、今月の哲学カフェ尾道をふりかえっておきましょう。

テーマは「かけてもいい迷惑、いけない迷惑」でした。

 

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いやー、実は「迷惑」については私もけっこう前からやりたくて、

岡山で自主企画でやろうかなと広報の案内文を考えていた矢先、

メールでantenna Coffee Houseのマスターからご提案いただき、

マスターの意見も聞いてみたくなって尾道でやることにしたのでした。

(という裏事情は、マスターもこの記事を読んで初めて知ることでしょう。)

 

 

特に前半は「かけてもいい迷惑」の話がそれほど出ず、「迷惑とは何か?」についての視点があれこれ出たなぁ。

‥‥‥と私は感じたのですが、

ある常連さんは「いつもほど『〜とは何か?』をつきつめる展開ではなかった」と感じたそうな。

なんと、不思議な!

同じ対話の場にいるのに、見え方が人によって全然ちがう!

これが、哲学カフェの面白いところですが、このレポートはいつも以上に「(※個人の感想です)」と思って読んだほうがいいかもしれません。

 

とはいえ、その常連さんと私、共通の見解もありました。

それは、一つの例をめぐって対話が繰り広げられるというより、みなさんそれぞれが、自分の視点・論点にあった例をあげていくような展開であったこと。

 

  • 「迷惑」は、なぜ「迷う」「惑う」という字なんだろう?
  • 中国語の「迷惑」と日本語の「迷惑」はちがう。中国語では日本語の「迷惑」にあたる言葉は別にあって、さらに「友だちには迷惑をかけてよい」という考えが浸透しているが、日本では?
  • 職場で「上司に時間を割いてもらうのは迷惑では」と相談を躊躇していて、失敗してしまった。
  • なぜ家庭や学校で「迷惑をかけてはいけない」と教えることが多いのか?
  • 「人に迷惑をかけてはいけない」は、障害や病を抱えるひとに対して思いやりに欠ける教えではないか?
  • 「高齢になると周囲の人に迷惑をかけることが増える」という感覚はいつから発生したのか?(高齢者のお世話を「迷惑」とも「介護」とも思わずやっていた時代もあるのでは?)
  • 「迷惑」と感じることが多い人とほとんど感じない人のちがいは?
  • 自分には関係ない事柄で「迷惑だ」と騒ぐ人がいるのは、なぜ?

 

などなどたくさんの体験、指摘、疑問を通して(とても全部は挙げきれず、すみません)、

「迷惑」な行為があるのか?

「迷惑」は関係性によって発生するのか?

受け手が「迷惑」と感じたら迷惑なのか?

という問いをぐるぐる巡っていたような気もします。

 

そうそう、そのなかで個人的に興味深かったのが、「『迷惑』とは、本当は自分の欲求なのに、それが自分の欲求であることを隠すときに使われる言葉である」という説。

「ネットなどで自分には関係ない事柄について『迷惑だ!』と怒る人がいるのは、なぜ?」という話題から出てきた説です。

先月岡山で「常識/非常識」について対話したときも、「常識」について似たような説が出ていたのを思い出し、びっくりしました。

「迷惑」と「常識」の根底には、共通の闇が存在するのを垣間見てしまった‥‥‥。

 

 

そして、終盤、残り15分かそこらの時間だったでしょうか。

例も切り口も多様なまま展開していたこの日の対話に、突如、ハイライトシーンがおとずれます。

それは前半からずっと職場での迷惑について考えていた若い女性、「迷惑をかけまいとして上司に相談を躊躇して、かえって迷惑をかけちゃった」という体験を話してくださった方でした。

それまでずっと考え込んでいる顔だったのが、突然、霧が晴れたかのように「わかった!」と。

そして、晴れ晴れした顔で、一つのテーゼを示してくれました。

 

本当にかけてはいけない迷惑を回避するためになら、迷惑をかけてもいい!

つまり、かけてもいい迷惑とは、かけてはいけない迷惑を回避するための迷惑である。

 

(2019年10月13日哲学カフェ尾道 ある参加者の言葉)

 

途端に、その場に感嘆の声があがります。

「おおおおお!」「それだ!」「そうきたかー!」「なるほど〜」

ずっと「かけてもいい迷惑/かけてはいけない迷惑」の境界線を探していた私も、びっくりしました。

まさか、境界線じゃなくて、かけてもいい迷惑とかけてはいけない迷惑の関係性を明らかにするとは!

 

もしかしたら全員(?)と思えるほど多くの人が、この定式化に「聞いてよかった!」「おかげで今後、迷惑をかけるかどうか迷わなくてすみそう!」と感動して帰りました。

 

だから、哲学カフェはやめられない!

 

ご参加くださったみなさん、antenna Coffee Houseさん、ありがとうございました。

 

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夜のラグビー観戦もお楽しみいただけたでしょうか?(私も観て帰りたかった!)

 

 

次回の哲学カフェ尾道は、12月8日(日)。

テーマは、「“悪いこと”は、なぜ悪いのか?」です。

初めての方も、時々参加の方も、お馴染みさんも、お会いできるのを楽しみにしております♪

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