偶数月の第2日曜に、antenna Coffee Houseで開催している、 哲学カフェ尾道。
6月9日は、テーマ代わりに思考実験を読んでか考える「思考実験室」篇。
今回は、こちらの本から「公平な不平等」と題された思考実験を取り上げました。
3人の息子たちへのクリスマスプレゼントを巡って‥‥‥
ひとつ100ドルのプレイボーイを3人平等にプレゼントしようという妻マーガレットと、150ドルの最新型「プレイボーイ・プラス・マックス」を2個買えば、オリジナルのプレイボーイが1個おまけがついてくると知り、そうしようという夫ジョンのやりとりが描かれています。
「絶対、ジョン派!最新型を使う機会を奪われるのはイヤ」という声からはじまり、「曜日ごとに交換しては?」「夫が管理してレンタル制にすればいい」、「あえて子どもたちに丸投げして、どうするか本人たちに考えさせる!」、さらには「うまいこと売り買いすれば、最終的に300ドルで3個のプレイボーイを手にいれられるはず!」などなど、理由とともに様々な策を凝らすジョン派の面々。
もちろん「親としてはマーガレット派」という方もいるのですが、マーガレット派の主張がシンプルなのに対し、どうも、ジョン派のほうが不平等問題をどう解消するか策を巡らせる必要に迫られるようです。
そこから、タイトルどおりの「平等」に関する議論‥‥‥
- 機会の平等か結果の平等か?
- 兄弟間における平等とは?
- 平等って本当に大事?
などなども、もちろん盛り上がったのですが、
さらに「プレゼントとはなにか?」という視点からも考察が広がったのがおもしろかった!
- プレゼントは贈り先があってこそ。『みんなにまとめて』なんてのはプレゼントじゃない
- 親が子どもに送るプレゼントは、単なる物ではない。物に込められた思いがある!
などなど、タイトルとは全く異なる視点で著者の狙いとはちがうかもしれませんが、これこそ哲学カフェの醍醐味でしょう。
誰かに贈り物をするときのために、心に留めておきたいお話をたくさん聞けました。
複数のテーマが出てくるのが、こうした文章を素材にした対話の楽しみなのかもしれません。
同日の午前にONOMICHI SHAREで開催されたセミナーと連続で参加してくださった方にとっては、〈問い〉を見つける練習としてもちょうどよい回だったのではないでしょうか。
「絶対、ジョン派!」の方が途中でマーガレットとの折衷案を必死に考える様子や、3人兄弟の末っ子たちをさんざん聞いた最後の最後に、ずっと黙ってた方が「実は、私、3人兄弟の一番上なんです」とカムアウトするなど、ライブ感満載の展開も最高な回でした。
ご参加くださったみなさん、antenna Coffee Houseのマスター、楽しい対話の時間をありがとうございました。
次回の開催は8月11日(日)。
「努力は才能に勝てるか?」をテーマについて、対話をとおして考えます。
お盆中ですが、ご都合・ご関心の合う方がいらっしゃったら、ぜひ♪