(技術倫理も、こういう教科書ほしいなぁ。誰かつくってくれないかなぁ。)
と、概ね大絶賛なのですが、ちゃんとツッコミもいれておきましょう。
まず、ジェンダーバランス、悪くない?
事例やイラストなんかで出てくる保育士や保護者は、女性ばかり。
男性が出てくるのは、子どもと、妻にあれこれ任せきりの夫、ちょろっと出てくる役所の人ぐらい。
これは、私が実践している「お母さんの哲学カフェ」にも当てはまることなのですが‥‥‥たしかに、実際に自分の経験に基づいて書くと、こうなっちゃうんです。
「育児サークル」でやってる哲学カフェなのに「お母さんの哲学カフェ」になっちゃう。なんで「お母さん」なんだよ!って自分でツッコミを入れざるをえない状況。
現実的な学びのために現状を忠実に反映すべきか、現実を先取りして「こうだったらいいな」というイメージを無意識に植え付けるべきか、悩ましいところですが‥‥‥
この本の執筆陣をみると、少なくとも私の知人は頭の柔らかい人ばかりなので、現実に基づいて男性の保育士や育児に悩む父親も描けたんじゃないかという気もしてしまいます。
もう1点やや気になっているのは、「1-5 発達障害と療育」の節。
実際に「発達障害」の人たちと接している私としては、ここに書いてあるような「障害」という理解の仕方が、かえって子どもの成長や保護者の安心を妨げてしまうことはないだろうか、とこわい面もあります。
でも、おそらく、現在の保育業界で基本として流通している共通理解は、この本に書かれているとおりなんだと思う。
そういう意味では、この節の説明は重要だし、コンパクトにまとまっていてありがたいです。
「発達障害」の捉え方については、また改めて考察します。