てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

井上奈奈『星に絵本を繋ぐ』(雷鳥社)

井上奈奈さんのこちら、購入しました。

 

 

奈奈さんの絵本はどれもお気に入り。

けど、今回は絵本ではなく絵本についての本だったので、購入するかどうかちょっと迷いました。

でも、ページをめくったら、購入しないではいられませんでした。

 

本書は絵本を作るという行為が繋いでくれた「世界」についての話であり、「美しさ」についての話であり、「画ほのを作ってみませんか」というお誘いの本でもあります。(井上奈奈『星に絵本を繋ぐ』「はじめに」より)

 

奈奈さんがはじめて絵本の企画を出版社に持ち込んだときの話や、絵本のラフ本作りのページを読んでいると、忘れかけていた「つくりたい」という気持ち、なにかをつくって届けるときのドキドキ感やワクワク感が心地よく蘇ってくる。

そういう気持ちをいつでも思い起こせるように、ちゃんと手の届くところにこの本を置いておこうと思いました。

 

わたしもいつか、絵本つくってみたいなぁ。

 

 

奈奈さんの絵本で開催したえほん哲学カフェも気になる方は、以下をどうぞ。

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

 

 

患者を支える希望とは?〜キューブラー・ロスの5段階説を読む読書会〜

今日は、すろーす読書会。
キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』より、第8章「希望」の章について、参加者のみなさんと感じたこと考えたことを語り合いました。
 

 
希望にはどんな種類があるのか?
「希望」と一括りにする意味はあるのか?
「よい治療が見つかるかも」は本当に希望なのか?
‥‥‥といった、希望を一括りにしていいのか問題
 
抑鬱状態のときも希望は本当にあるのか?
希望と受容は両立するのか?
‥‥‥といった、希望と○○は両立するのか問題
 
非現実的な希望って?
希望が現実否認?
‥‥‥といった、希望と現実問題
 
などなどがまず出てきました。
 
その後、ロスの「死について話すのを避けるべきではない」に対する「でも、やっぱり死について話しにくいのでは」という感想をきっかけに、「死について話にくいのはなぜか?」「死について語るとはどういうことか?」について様々な角度から考える展開に。
 
希望や悔い、死について語ることをめぐる患者と家族のズレについて話すなかで、「愛があればいつか理解できる?」「愛ってなんだろう?」という疑問が湧いてきたところで、終了時間になりました。
 
希望について書かれた章で「死について語るとは?」や「愛って何?」という問いが出てきたのが興味深かったです。
ひとりで読んだだけじゃ気づかない発見がたくさんありました。
 
次回は11月20日(日)に、同じ本から「患者の家族」の章を取り上げる予定です。
「家族のためのがんカフェ」や「遺族のためのがんカフェ」を開いているすろーすにとって関わりの深い章だと思うので、みなさんとの対話でどんな感想や気づきが出てくるのか楽しみです。

がんカフェ@ウェル・リビングを考える会

先週末は、ウェル・リビングを考える会主催のがんカフェにゲストとして参加してきました。

こちらのがんカフェは、毎回ゲストからの話題提供+対話という構成だそうです。

 

livingwillcafe.blogspot.com

 

今回は、「家族のためのがんカフェ」や「遺族のためのがんカフェ」を開催している第2の患者会すろーすの活動についてご紹介させていただきました。

www.facebook.com

 

 

がん患者の家族の方や、がん患者さんを支援している方、医療者の方なども参加されていて、みなさんとのやりとりのなかでいろんな気づきがありました。

 

一番大きな気づきは、すろーすの「家族のためのがんカフェ」では、あまり出てこない話というのもあるのだなぁということ。

参加者の方に「こういう話についてはどうですか?」と尋ねられて、「あ、そういう話はすろーすであまり出てこないなぁ」と。

たとえば、治療や週末の過ごし方についての選択肢の話。

患者家族たちの対話でも全く出てこないというわけでもなさそうですが、どうも話の方向性がちがう。

患者家族は、そうした選択肢に直接関わるというより、間接的に関わることが多い。

だから、「何を選択するか」というより、

  • 患者と家族や家族同士で意見が分かれてるんだけど、どうしよう?
  • 本当はこう思ってるんだけど、伝えるべきだろうか?
  • 伝えるとして、どう伝えたらいいんだろう?
  • 自分の中のモヤモヤした気持ちをどう整理しよう?

といった方向に進むことが多いです。

 

今回、いろんな方の話をうかがって、こういった内容・やりとりがメインになるのは、がん患者本人なしの家族だけの対話だけだからこそで、がん患者さんがいると、直接選択肢について話したり相談したりといったことがメインで、すろーすで話しているようなことは出てこなかったりサイドディッシュ的な扱いになりそうと感じました。

 

何が話されているかだけでなく、何が話されていないかからも、他の活動とは異なるすろーすの活動の特徴が浮かび上がる。

そのことに気づかされたので、今後はそこも注目して、自分たちの活動についての理解を深めていきたいです。

 

ウェル・リビングを考える会のがんカフェ、次回は10月30日で、田村恵子さんが「ともいき京都」のお話をしてくださるそうです。

tomoiki-kyoto.net

私もzoom係として参加予定。楽しみです。