てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

どんなときでも、みんなを大事にすべき?@YMCAせとうち

昨日2月20日(土)は、岡山市中山下のYMCAさんにお邪魔して、こども哲学してきました。

 

YMCAさんがさっそくレポートをあげてくださっています↓↓

setohime-ymca.org

 

学生リーダさんも含め12名+わたしでの対話となりました。

 

以下、備忘録です。

 

前半は、ハワイスタイルでコミュニティボールづくり。

以下の質問にひとりずつ質問にこたえながら、毛糸をまきまき。

  1. よんでほしい名前は?
  2. いままでYMCAで一番楽しかったこと
  3. 大事にしてるもの(or 人、こと)は?
  4. 大事にしたいけどできてないもの(or 人、こと)は?

コロナの影響でしばらくコミュニティボールづくりもできてなかったので、ひさしぶりにつくりました。

哲学対話意外でもみんなで話し合いをする機会もちょこちょこありそうなので、専用のコミュニティボールがあったら今後も使ってもらえるんじゃないかとおもって。

初対面のわたしはもちろん、1年弱一緒に活動してきた子どもたちや学生リーダさんたちも、お互い知らなかった一面が見えて驚く場面も。

 

 

後半は、フランススタイルで質問ごっこ

今回はこちらの絵本から「どんなときでも、みんなをだいじにすべき?」

 

いっしょにいきるって、なに? (こども哲学)

いっしょにいきるって、なに? (こども哲学)

 

 

後半、この問いを取り上げようというのは事前に相談して決めていたので、前半の質問に「大事にしてるもの」と「大事にしたいけどできてないもの」をいれておいたというわけです。

途中で答えを選びなおす子もちらほら。

オンラインの質問レッスンなどでもたまに取り上げる問いですが、ボールとともに質問や答えが行き交う様子は、オンラインとはまたちがう楽しさがあるなぁ。

 

おまけ

こども哲学の前に30分ほど、みんなと一緒に公園で遊ぶ時間があり、ひさしぶりにすべり台を堪能しました。

服の素材によって全然すべりやすさがちがう!と気づいて、上着を脱ぎ着したり、同時にスタートしてどっちが早いか比べたり‥‥‥。

わたしのワンピースはKくんのジャンパーの次にすべりやすくて、ブランクの大きいわたしは、ドキドキしながらすべりました。

でも、ずっと気になってたすべり台(ちょっと変わった形をしてます)だったので、大満足。

すべり台も哲学も、一緒に楽しんでくれる人がいると、チャレンジしやすいですね。

「怒る?叱る?」@大元公民館

2月9日(火)は、岡山市立大元公民館にて、子育てモヤっとニコッとカフェでした。

テーマは、前回のモヤモヤはきだし会で出たなかから、「怒る?叱る?」。

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

 

残念ながら、楽しみにしていたのに幼稚園の行事と重なり参加できない方もいらっしゃいましたが、少人数でも全く物足りなさは感じず、大盛り上がり。

 

子育てカフェでありながら、テーマに関連することなら子育て以外の話も子育てのヒントになるから大歓迎!のスタンスでやってますが、今回は、

「これって怒りすぎ?」

「人前で子どもを怒ったり叱っちゃダメ?」

「こういう人には、子どもを怒る資格はないと思う」

などなど、子育てモヤモヤが充実してましたね〜。

 

アンガーマネジメントが流行っていることからもわかるように、どんな人にとっても関心のあるテーマかと思いますが、

「ダメなことはダメって言わないと、しつけがでないのでは?」

「人前で叱るのは夫がいやがるけれど、人前で叱らなければ『あそこの親はしつけをしないのか。無責任だ』と思われてしまう」

などなど、子育てとからむことで、より複雑さが増しますね。

子どもに対してどうするかだけでなく、夫や父母、義父母(子どもからみたら、父や祖父母)との関係、怒る/叱るの基準ややり方についての齟齬なども、より問題を複雑にしているような。

 

「育児書、育児サイトには『感情的に怒るのはダメ、理性的に叱ること』って書いてあるけど、自分が怒ってるのか叱ってるのかわからない」と子育てあるあるのおかげで、子育て中の方対象の哲学カフェでは定番のテーマという印象がありますが、

定番の「怒ると叱るはどうちがう?」に加えて、今回は「注意する」「脅す」「不機嫌になる」との比較も行われたのが新鮮でした。

さらに、「怒る/叱る」の反対のイメージがある「穏やかさ」についても考える展開に。

 

「自分は注意しただけのつもりなのに、『そんなに怒らないあげて』と言われてショックだった」

「あの人は怒りはしないけど、不機嫌にはなるので、穏やかとは言えないな〜」

「『となりのトトロ』に出てくるメイちゃんのお父さんみたいに、穏やかな人になれたら‥‥‥」

「たしかに、メイちゃんのお父さんは穏やかだけど、さつきがメイちゃんを叱ってくれてるから、穏やかでいられるのでは?」

などなど。

 

しかし、考えれば考えるほど、注意する、怒る、叱る、脅すの区別は曖昧に‥‥‥。

 

そんななか、「怒るも叱るもあくまで手段。その目的と手段が合っているかどうかが大事」という説が出てきます。

 

 

しつけのために怒ったり叱ったりすることが必要なこともある。

その一方で、怒る/叱る以外に、より有効な方法がある場合もある。

だけど、自分のストレスをぶつけるために怒ったり叱ったりすること、怒る/叱ること自体が目的になるのはダメ。

 

それは、それまで考えいた区別とは、全く別の区別を対話にもたらしてくれた気がします。

終盤は、それまでに出た様々な経験や例を照らし合わせながら、この説についてじっくり紐解き吟味していきました。

 

「ダメといっても、ついついストレスをぶつけちゃうこともある」

「お母さんは自分のために怒っちゃいけないのかな?」

「“こういう怒りかた/叱りかたをしなきゃ”ではなく、“こういう怒りかた/叱りかただけは避ける”という視点で考えてみたらどうだろう?」

 

そして、最後の最後に、「怒る/叱るが成り立つ関係って?」という興味深い疑問が出たところで時間切れ。

ちょうどいい具合に、次回のテーマが「親子ってどんな関係?」なので、そのなかで改めてじっくり考えられるといいな。

 

ご参加くださったみなさん、大元公民館のみなさん、ありがとうございました。

そして、テーマを提案して楽しみにしていたのに参加できなかった方も、ぜひ参加した人に気づきをシェアしていただければ。

私がストップをかけなければまだまだ話せそうだったので、きっと、大喜びで教えてくださると思います。

「いのちって何?」@岡山大学

先週末、2月7日(日)は、岡山大学主催、医療者対象のオンライン哲学カフェでした。

テーマは「いのちって何?」。

 

がんの告知

自殺、安楽死

肉体の死/心の死

死=関係が突然絶たれること(転校に似てる)

思い出のなかで生きている

動植物のいのち/人間のいのち

アート作品に「いのちを吹き込む」

「選手生命」

 

さまざまな切り口から‥‥‥

  • 自分のいのちは自分のもの?
  • 「いのちを大事に」ってよくいうけど、どういう状態だったら大事にしてると言える?
  • 死ぬのは悪いこと?

‥‥‥といった疑問が投げかけられるなか、大きな焦点となったのが、

  • 「生きる/死ぬ」と「いのちがある/いのちがない」は同じか?

という問いでした。

 

「え、同じじゃない?」という人も少なくないなかで、おもしろいなとおもったのが、

「すでに死んでる魚について、“鮮度がいのち”って言いますよね」という指摘。

 

ここから、「アート作品に“いのちを吹き込む”」や「選手生命」といった言葉がどういうときに使われるか検討。

「“いのち”は、意味や価値があるときに使われる言葉では?」という意見。

しかし、その一方で、この考え方は優生思想につながる危険性や、自分が認識していないところにも意味や価値があることを指摘する声も。

 

また、妊娠・出産や食物連鎖など、「いのち」は個の生死を超えてつながるものではないかという見解も。

しかし、その一方で、病院で「いのち」といわれるときは個の「いのち」を指しているう気もする‥‥‥。もしそうだとすると、やっぱり「いのちがある/ない」と「生きる/死ぬ」は同義なのか???

 

どちらの論点からも、「いのちがある/ない」を「生きる/死ぬ」を同義として捉えるかどうかで、“いのち”が指し示す範囲も“いのち”に関わる問題もずいぶん変わってきそうだと感じさせられる対話でした。

どっちが正しいという話ではなく、どっちの捉え方をするかで見える問題が変わってきそう。

 

初めて参加された方からは、「アート作品のいのちや、他の動植物との連関のなかにあるいのちなど、ふだん医療現場で働くなかでは思いつかない方向から“いのち”について考えられて、驚いた」といった感想をいただきました。

テーマを決めたときは、わたしも「めずらしくがっつり医療っぽいテーマだな」とおもったのですが、実際に話してみるとおもった以上に、これまで扱ってきた他のテーマと同じように医療のことも話せるし医療じゃないことも話せるテーマだったんだなと気づかされました。

こんなふうに、ふだんとは異なる視点から“いのち”について考えてみることが、今後どう医療現場で役立つかわからないけれど、もしかしたら多様な死生観を理解する一助にはなる‥‥‥かも???

 

ご参加くださったみなさん、岡山大学さん、ありがとうございました。

 

次回の開催予定は5月ですが、その前にさんかく岡山さんとの特別企画があるので、そちらについてはまた改めてご案内させていただきます。