てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

参加者へのインタビュー@岡山大学

昨日は、岡山大学の小比賀さんと、一緒にやってる医療者対象の哲学カフェに関する参加者へのグループインタビューをオンラインで実施しました。

 

こちらもなにも考えずやってるというわけではないのですが‥‥‥

改めて、こうした対話実践の意味に気づかされたり、講義形式との学びとのちがいや効果について思い込みを覆されるような発見がありました。

 

ちゃんと研究費をもらって実施してるインタビューなので、詳しい内容はまだご紹介できないのですが、あまりにうれしかったので、書き残しておきたくて。

でも、来年どこかで発表できたらなと考えています。

お楽しみに〜。

 

それから、インタビューの前後の雑談でちらりとうかがったのですが、やはり医療現場はいつもと異なる仕事が発生して大変そう。

緊張をほぐすために、いつもはしないクリスマスの飾り付けをあえてしたというお話も‥‥‥。

普段以上に忙しくて大変ななか、わざわざ哲学対話に参加してくださる医療者がいるのが不思議な気もしたけれど、哲学対話もクリスマスの飾り付けのようなものなのかもしれない。

“てつがくやさん”ができることは多くはないけれど、哲学対話をとおして少しでもみなさんの緊張をほぐす時間になるといいな。

 

「責任をとるってどういうこと?」@高島公民館

昨日12月22日(火)は高島公民館の哲学カフェ、ふたばトークでした。

テーマは「責任をとるってどういうこと?」。

 

岡山市内でもコロナウィルス感染者が増えてきて、人数は少なめ。

たっぷりのソーシャルディスタンスをとって、定員60名ほどのお部屋に最初は5名でゆったりとスタート。

 

責任という言葉に自由を制限されるような印象をもつ人、

反対に、自分で稼いで自分で責任をとれるようになったら自由になれると感じる人、

社会的な使命や任務を全うするという責任を大切にしている人。

まずは、いくつかの責任の捉え方のちがいを解きほぐしながら、

 

責任と自由の関係は?

『責任』と『責任感』は同じ?ちがう?

責任は所属に伴うもの?

辞めることは本当に責任をとったことになるのか?

 

などなど。

 

さらに途中から2名ほど加わったところで、交通事故、家庭内での家事の分担、印鑑、子どもに対する責任、資源ゴミ当番など、身近な例をヒントにさらに思考がドライブして、

「責任をとる」と「責任を果たす」の関係、

なぜ謝罪が責任をとることになるのか?

できる/できない、やりたい/やりたくないと責任の関係、などなど。

 

5人の時間は一人一人の考えをゆっくり確認しながら歩む感じなのに対し、

7〜8人になると、丁寧に確認しながらというより、視点の多様性によって吟味が促進されますね。

 

1時間をすぎたところで、それぞれの発言がどんな問いに対応したものなのかややこしくなってきたので、いったん、一人一人、責任に関して自分が気になっていることを疑問のかたちで書き出してみました。

 

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終盤は、「責任が果たされないのもイヤだけど、イヤイヤされるのはもっとイヤ」という話から、言葉や態度と責任の関係、「責任」と「義務」のちがいについての気づきをシェアしつつ、お時間に。

まだまだ話せそうだったし、話したい気分もありましたが、進行役の責任を果たすため(!)、12時(をちょっと過ぎちゃった気もするけど)になんとか終了しました。

 

終了後、自転車を漕ぎながら対話を思い返して気づいたのは、

責任には相手がいるんだなということ。

そして、責任はその行為をしなくても代わりの人を見つけたり代替行為で果たせることもありそうだけど、義務はそうじゃないかもしれない、ということ。

 

対話前は「提案されたから考えてみよう」ぐらいの気分だったのに、いまは、

「同じテーマで ソクラティック・ダイアローグ(全員合意形成を目指して2日〜1週間かけてがっつり話し合う哲学対話)もやりたい!」なんて思っちゃってるわたしがいます。

 

まさか今年最後の対話仕事で、こんなびっくり箱みたいにいろんな問いが飛び出す対話になるとは(驚)。

大いに知への愛を駆り立てられる時間でした。

 

ご参加くださったみなさん、高島公民館のみなさん、ありがとうございました。

 

会話のレシピづくり@フリーデザイン岡山

昨日はフリーデザイン岡山にて、コミュニケーション・カフェでした。
(毎回こまめに手洗いや体温計測を促してくださるのですが、今回はアクリル板などさらにコロナ対策が強化されてました。)

 

2ヶ月前は「雑談って必要?」という疑問についてたっぷり話し合い、かなり充実した対話が繰り広げられたのですが、

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

今回は前回もちらりとご紹介したこちらの本を参考に、雑談に役立つ(?)会話のレシピづくりにチャレンジしてみました。

 

雑談の苦手がラクになる 会話のきっかけレシピ

雑談の苦手がラクになる 会話のきっかけレシピ

  • 作者:枚岡 治子
  • 発売日: 2019/05/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

雑談がうまくなるための本というより、

雑談が「できない」と悩む人が少しでも「できる」ようになるための本。

親しい人とは話せるけど、職場などで「知ってるけど親しくはない」人と、当たり障りない会話をどうするかというための本です。

 

レシピづくりは簡単。

何人か集まって、本に載ってる具体的なシチュエーションで「自分ならどうする?」を書き出してシェアし、「これなら自分もできそう」というものを探したり、感想を語り合いながらポイントを発見したりしていきます。

 

今回は

シチュエーション①朝、出勤する時に駅で同じ職場の人に会い、「雨ですねぇ」と話しかけられた

シチュエーション④オフィスのエレベーターで待っていると、知っている人と一緒になった

シチュエーション⑦職場の飲み会(全員知ってはいるけれど、個人的な付き合いはない人たちと)

の3つについて、それぞれ相手が上司の場合と同僚や部下の場合を想定していろいろ出し合ってみました。

 

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実際に書き出してみると「上司と部下で、自分はこんなに話し方が変わるのか」と気づいたり、自分が思いつかないような策があって

また、この本の面白いところは、苦手な雑談シーンを避ける方法もちらっと載ってるところなんですが、今回の参加者からも「エレベーター前で苦手な人にあったら、忘れ物したふりをして逃げる」「飲み会は席選びが重要」「お酒が苦手だから断っちゃう」などあれこれ出てきました。

特に断るって苦手な人が多いので、具体的にどんなセリフで断るかいろんなバリエーションを聞けたのはよかったかも。

 

雑談の工夫について人に聞く機会は少ないので新鮮でした。

また他のシチュエーションでもやってみたいです。