てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

てつがく絵カード@フリーデザイン岡山

昨日5月20日(水)は、フリーデザイン岡山へ。

福祉施設なので、利用者さんの生活のリズムを整えるためにも、開けているそう。

(岡山では感染者が増えていない状況のなか、感染を恐れすぎて健康を害してしまうのも避けたいですものね。)

在宅活動中の方もいるらしく、いつもより人数は少なめでしたが、おかげでひさしぶりに家族以外の人とナマで話せました。

 

今回は2ヶ月に1度のコミュニケーション・カフェということで、何をするか迷ったんですが、せっかくだからオンラインでできないことがやりたくなっちゃったんでしょうね。

久しぶりに「てつがく絵カード」を使ってみることにしました。

 

てつがく絵カード (哲学カード)

てつがく絵カード (哲学カード)

 

 

カードに書かれたお題のなかから、まずは「一番ふつうなのはどの人?」をやってみることに。

 

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指示されたこれらのカードを‥‥‥

 

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「一番ふつう」だと思うものから順に並べていくのですが、

さらに「ふつうかどうか話してみたいカードも、勝手に混ぜちゃおう!」ということで、こんなカードを混ぜてみたら‥‥‥

 

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「誰だって一生に1回ぐらいは大ケガするでしょ」「いや、でも、ここまでのケガは滅多にないのでは?」、「パッと見て、この服のかぶり方はふつうじゃないと思った!」「でも、こういうおどけた人っていない?」「子どもならいるかも」「いるけど、テンションがふつうじゃない気がする」‥‥‥と大盛り上がり!

“ふつう”といっても、実際にいそうかどうか、知り合いにいるかどうか、誰にでも当てはまるかどうか、日常度合い、テンションの高さなどなど、いろんな“ふつう”が浮かびがります。

 

2回目は「ホンモノはどれ?」というお題が選ばれ、こちらも「こんな南の島にシロクマがいちゃおかしいでしょ」「けど、こういう動物園ありそう」「檻の中のライオンも動物園にいるよね」「いや、でもライオンって本来はサバンナにいる生き物でしょ。檻にいるのは“ホンモノ”とは言い難い」‥‥‥などなど。

 

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「現実かフィクションか」「自然や本来のあり方に沿っているかどうか」「気持ちに嘘がないかどうか」など“ホンモノ”の捉え方によって、同じものが“ホンモノ”になったりならなかったりすることが明らかに‥‥‥。

 

カードの絵柄のどこに注目するかによっても並びが変わってくるので、お互いに「このカードはもっとこっちかと思った」「これはなぜここなの?」と質問やコメントをはさみながら、楽しみました。

他の人の説明を聞くと「なるほど〜」と思うのですが、いざ自分でカードを並べてみると全然ちがう並びになるのがおもしろい!

それに、ふだん口数が少なめな方も自分が並べたカードの説明は、わりとスラスラとしてくださった気がします。

 

この「てつがく絵カードの」説明には「小さな子どもたちとてつがくするためのテーマ別絵カード」、「哲学は大人だけがするものではありません」とありますが、このカードは大人同士でやっても盛り上がるよ!とお伝えしておきます。

オンラインセミナー:哲学者の質問レッスン

5月17日(日)は、オンラインセミナーをしてみました。

カフェフィロや尾道自由大学で朝から夕方まで丸1日かけてやってきたセミナーを、初級編、中級編、上級編と3つに分けてやってみようかと。

 

ptix.at

 

これまでは遠方の会場まで行く交通費のモトをとるために、プログラムを丸1〜2日につめこんで、1回1万円以上の受講料をもらわないとできなかった(ワークで全員の様子がみれるように参加者数を絞ってるからというのもあるけど)。

それがオンラインだと、交通費がいらないから2〜3時間に区切ってできる。

参加者もいろんなところから参加してもらえる。

そして今回は、なんと、海外からの参加者も!

 

そうはいっても、オンラインだと同時に複数グループの様子をみることはできないので、ごく少人数で。
(オンラインでも複数のグループ間を行ったり来たりはできるけど、対話ではいつなにが起こるかわからないから、やっぱり常に何が起こってるか感じられる状態でやりたい。そのほうがこっちも楽しいし。)

 

今回は初めての方を想定していましたが、「もう1度受けたい!」と受講してくださった方も‥‥‥。

たしかに、私も大学の「対話技法論演習」は毎年受けてた。

そして、授業の内容が同じでも対話の内容は変わるし、同じワークをしていても自分が成長するごとに発見がありました。

 

初級編はレクチャーとワークでしたが、中級編、上級編は、ひたすら質問ワークをやる予定。

これまで質問セミナーしたあとに必ずといっていいほど、「また質問の練習したい!」という声をいただいていたものの、交通費がかかるので練習だけの回を岡山以外で設けるのが難しかったのですが、オンラインならできるやん!とふと気づきまして。


さっそくお申し込みが入っているので、わりと早く埋まっちゃうかも???

p-question1614.peatix.com

 

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哲学者の質問レッスンといえば、哲学者の道具箱

 

オンライン哲学カフェ「気持ちを大事にするってどういうこと?」@岡山大学

オンライン哲学カフェ、オンライン授業、オンラインセミナー‥‥‥とそれらの準備に明け暮れていて、こちらがしばらくお留守になってしまいました。

 

前回の投稿の翌日、5月10日(日)の午後は、はじめてオンライン哲学カフェを開きました。

岡山大学大学院医歯薬学研究科のご依頼で、対象は、これまで岡山大学大学院の医療者対象の哲学カフェに参加してくださった方々。

いつもは医療者なら誰でもOKなのですが、今回はなんせオンラインでの初めての哲学カフェということで、対象者を哲学カフェ経験者に絞らせていただきました。

人数も、いつもは10名以上集まりますが、今回は主催者、進行役も合わせて9名と抑え目に。

 

育児サークルで哲学カフェをはじめたり、大学のお仕事をやめて「てつがくやさん」を始めたり、けっこう「無謀」と定評のある私ですが、今回は「私ってけっこう慎重派だったんだなぁ」と、しみじみ感じています。

オンラインだと、参加者の感じる違和感に気づきにくいのでは、という懸念が、わたしをそうさせているのだと思います。
あと、お金をいただいてお仕事としてやるからには、というのも当然ある。

 

はじめてのオンライン哲学カフェがどうなるかドキドキでしたが、これはこれで、なかなか楽しいものですね。

直接会って輪になると隣の人の顔が見えにくいけどzoomだと全員の顔が見えたり、途中、図を描いて説明してくださる方がいたりと、オンラインならではのよさも見つかりました。

 

内容も「気持ちを大事にするってどういうこと?」をテーマに、医療現場や日常生活のなかのちょっとした場面、文化的な差異などを例に、①気持ちと感情のちがい、②気持ちを大事にすることと相手との関係性、を中心にじっくり考えることができました。

なかには、「気持ちを大事にしすぎると、医療が成り立たたなくなる恐れもある」といった、このウィルス禍で医療現場が何を優先すべきか考えさせられる声も‥‥‥。

 

予想通り、思考を深めるという点では、場合によってはオフラインよりやりやすいかもしれません。

どこまで参加者をケアできるかについては、参加者数ややり方にもよるだろうけど、オフラインのほうがやりやすいかもしれない。
けど、いまは、こういう場を提供すること自体が、他の誰かと思考や対話を楽しみにたい人たちへの最大のケアになるだろうから、迷わずできることからやっていこう、と思いました。
 
次回開催がオンラインかオフラインになるかまだわからないけれど、もしオンラインだとしても時間は哲学カフェが初めての方も交えて楽しめそうです。