てつがくやさんの気まぐれ日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川えりのブログです。

オープンミーティング「終わりは始まりー“CCCSCD”で岡山芸術交流を語りあう」

11月23日(土)の夜は、後楽園から旭川をはさんで向かいにあるカフェ、CCCSCDへ。

岡山芸術交流2019のクロージングイベントに登壇させていただきました。

 

www.okayamaartsummit.jp

 

昼間、牛窓オリーブ園で哲学ウォークのあとで間に合うかどうかギリギリだったので一瞬断ろうかとも思ったのですが、今年は3年前の前回以上に‥‥‥

  • パブリックプログラムをとおして、ピエール・ユイグの「もし蛇が」に“てつがくやさん”なりに応えてみたぜ!*1
  • 現代アート音痴なりに、芸術交流の楽しみ方が掴めてきた!

という手応えがあり、ぜひ3年後に繋げたい!と思って駆けつけました。

なんとかギリギリ間に合って、よかった!

 

関連企画、サポートスタッフなど、それぞれの仕方で岡山芸術交流に関わってきた岡山在住の人たちが集結。

会期中は自分の担当で忙しく、この日が初めましての方もいましたが、それぞれの視点から貴重なお話をうかがうことができました。

特に、現代アート音痴のわたしが感謝してやまない会場スタッフの方(さりげなく、とっつきにくい作品を楽しむヒントをくださいます)のお話をうかがえてよかった!

あと、“こどもナビ”のお話も、こども哲学の参考になりそうなヒントがちらほら。

正直、会期中は自分の企画でいっぱいいっぱいなので、こうやって他の方のお話をうかがえる機会があってありがたい。

 

「オープンミーティング」らしく、それぞれの視点から、そして来場者のみなさんからも課題も出し合えたのも、とてもよかった。

「終わりは始まり」ということばにふさわしい会だったのではないでしょうか。

企業母体の財団と岡山市岡山県といった、仕組みのちがう組織がともに実施するうえで難しいことも多々あるかと思いますが、3年後に向けて、わたしなりにできることを今から始めてみようと思います。

(とりあえず、3年後の自分のスケジュールを確保しておくところから!)

*1:もしかしたら、アーティストもこんな感じでユイグのお題に向き合ってるのかも?

哲学ウォーク「働くってどういうこと?」

昨日11月23日は、牛窓オリーブ園へ。

最っ高!のお天気のなか、哲学ウォークをしてきました。

 

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哲学ウォークとは、オランダの哲学者ピーター・ハーテローさんが考案したワーク。

哲学者の言葉片手に、その言葉に関連するスポットとコンセプトを探して歩きます。

スポットとコンセプトが見つかったら、「ストップ!」

みんなでシェアし、それに対して他の人から質問をしてもらいます。

もらった質問から1つ選んで、残りの行程はその質問の答えを考えながら歩きます。

 

ci.nii.ac.jp

 

今回は、勤労感謝の日ということで、「働く」に関連しそうな哲学者の言葉をピックアップ。

みなさんが見つけたコンセプト、考えた質問とともにざっとご紹介しましょう。

 

立派にやり遂げたことに対する報酬は、それをやり遂げたことそのものにある。(ヴォルテール

コンセプト:ごほうび

選んだ質問:やりたいことをやる場合とやらされる場合と、ごほうびのちがいは?

 

偉大なことを成し遂げる人は、つねに大胆な冒険者である。(モンテスキュー

コンセプト:人工物

選んだ質問:どんなときに冒険したい?

 

はじまりは、仕事の最も重要な部分である。(プラトン

コンセプト:はじまりとは?

選んだ質問:はじまりは自分で決めるもの?ひとに決められるもの?

 

障害において最も大切なことは職業の選択である。しかし、それは偶然によって決まる。(パスカル

コンセプト:偶然

選んだ質問:偶然と必然のちがいは?

 

最も平安な、そして純粋な喜びの一つは、労働したあとの休息である。(カント)

コンセプト:積み上げる

選んだ質問:積み上げる以外に労働のイメージはある?

 

能力は、決してその需要に追いつくことはない。(老子

コンセプト:成長

選んだ質問:能力が需要においついたことはある?

 

働く喜びが、仕事を完璧なものにする。(アリストテレス

 ※時間ぎれでコンセプト、選んだ質問はなし。のちほど「仕事を完璧にするものには、働く喜びだけでなく技術もある」という説を出してくださいました。

 

 

1時間半ほどゆっくり歩いたあとは、キノシタショウテンこだわりのドリンクが楽しめる園内のカフェ、山の上のロースタリへ。

 

prtimes.jp

 

それぞれが考えた答えや哲学者の言葉、それぞれの経験をヒントに、「働くってどういうこと?」について考えした。

学生さんからの「学ぶことと働くことのちがいは?」という疑問から、「しないことが仕事になることはある?」、「する/しないの境界は?」など、ノリよく短時間ながら濃い思考が繰り広げられました。

 

ご参加くださったみなさん、オリーブ園のみなさん、ありがとうございました。

 

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「学びにおける対話とは何か」@広島大学教育ヴィジョン研究センター

少しときを遡りまして‥‥‥11月13日(水)は広島大学へ。

教育ヴィジョン研究センターの定例セミナーにお招きいただきました。

 

evri.hiroshima-u.ac.jp

 

 

セミナータイトルは「学びにおける対話とは何か」だったんですが、

よく考えたらわたしに話せるのは「対話における学び」のほうだった!

というわけで、「学びにおける対話とは」については将来教育者になる参加者のみなさんに考えてもらうことにして、その参考になればと「対話における学びとは」について哲学対話の実践からお話させていただきました。

さらに、

「対話を深めたりまとめる際のポイントは?」

「専門の異なる先生が専門領域を超えて対話するには?」

といった企画者や参加者のご関心に合わせて、先日のてつぷら岡山のセミナーで好評だった、対話(と思考)の交差点を見つけるためのワークをしてみました。

 

matsukawaeri.hatenablog.com

 

このワーク、けっこうみなさん楽しんでくれるし、短時間でも対話が深まりやすいし、そのうちどこかにちゃんとやりかたをまとめよう。

 

出身大学に教育学部がなかったので「どんな人がいるんだろう?」とドキドキでしたが、理科、社会、国語と異なる専門性の人たちが集まっているところや、事務の方との連携ぶりなど、以前研究員をしていた大阪大学コミュニケーションデザイン・センターと共通点もあり、とーっても居心地よく過ごさせていただきました。

セミナー終了後も、時間を忘れて企画者の方々と語り合ってしまいました。

 

西条、(ちょっと遠いけど)いいところだ!

ぜひまた、機会があればうかがいたいです。

 

企画者のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 

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【追記(2019.11.29)】

広島大学EVRIのサイトにもレポートがアップされました。

みなさん、ほんとにいい表情!

evri.hiroshima-u.ac.jp