哲学カフェを始めたころから、なんとなく、哲学カフェにホスピタリティって大事だよな、と感じてました。
その「なんとなく」がなんなのか、ずーっとあやふやなままきたのですが‥‥‥
ある日、サッカー観戦に行ったスタジアムでふと気づきました。
ホスピタリティって、「来てくれてありがとう、どうぞ楽しんでいってくださいね」って伝えるものなのね。
アウェイの人にも、「ここにいていいですよ」って伝えるものなのね。
我らが岡山のJ2チーム、ファジアーノ岡山は「ホスピタリティ日本一」を目指しています。
アウェイチームにも開かれた美味しいスタジアムグルメ。
わかりやすい案内表示。
「Ask me !」を着たスタッフ。
笑顔のボランティアさん。
子どもや地域に開かれたイベント。
アウェイ応援席に向けられる「ようこそ岡山へ」の拍手。
雨の日に手荷物を守るために配られるピンクのビニール袋。
etc...
ファジアーノ岡山をいつも応援している人はもちろん、初めてスタジアムを訪れる人や対戦相手のサポーターも、居心地よく過ごしてもらえるような心遣いがたくさんあります。
サッカーでの「アウェイ」といえば、通常、そのスタジアムが本拠地であるホームチームの対戦相手のことを差しますが、サッカーをよく知らない人、初めてスタジアムを訪れる人にとっても、ある意味「アウェイ」です。
でも、「サッカー、よく知らないんです」って人にも、ファジアーノ岡山は「まぁまぁ、とりあえずビールでも飲みに来てくださいよ!スタジムで飲むビール、美味いっすよ!」って感じ。
かく言うわたしも、Jリーグ屈指と言われるスタジアムグルメに釣られて通うようになったクチだ。
大阪では「試合=闘い!」って感じだったので、こっちで赤ちゃん連れの方やおじいちゃん、おばあちゃんがのんびり楽しんでいる様子や、対戦相手のサポーターと仲良く談笑しているサポーターを初めて見たときはびっくりしたなぁ。
哲学カフェでアウェイ感を抱きやすいのは、初めて哲学カフェに参加する人、初めて哲学に触れる人だろう。
わたしも初めて参加したときは、「わたし、ここにいていいのかな」「こんなこと言ってバカだって思われないかな」と密かに緊張していた。
その不安が、「誰でも参加OK」って言葉だけじゃ拭えたらいいけれど、そうはいかないこともある。
だから、やっぱり飲み物は大事。
「どうぞ」と出された一杯のコーヒーが、「ここにいていいんだ」と伝えてくれる。
さらに、コーヒー一択じゃコーヒー苦手な人が居心地悪いから、複数選択肢があるほうがいい。
和室の座布団、寒い会場で配れるブランケット、暑い会場で配られる団扇、適度なBGM。
そういうのが、哲学の本質からすればどうでもいいと思われるかもしれないけれど、以外に確実に対話の質を左右する気がする。
「自分はここにいていいんだ」、「おもったことを話していいんだ」と感じてもらえなければ、その人の内奥にある思考を引き出すことはできない。
もちろん、用意できる飲み物の種類が限られたり、エアコンの一括管理で室温を調整できなかったりすることもある。
思考と同じで、いつも完璧にはいかない。これが絶対という正解もない。
だからこそ、相手を想う探究心が試されるなぁと思う。