まつかわえりのてつがく日誌

はなして、きいて、かんがえるをお手伝いする〈てつがくやさん〉、松川絵里のブログです。

見えない人に見えて、見える人に見えないもの

尾道での『もうろうをいきる』の上映会について、追加情報です。

映画館でゆったり観たい方は、2月10日のシネマ尾道

感想など語り合いたい方は、2月11日にantenna Coffee Houseでお会いしましょう。

料金など、詳細はまた追ってお知らせしま〜す。

 

今日は、家事に熱中してしまったので、前にfacebookノートに書いた文章を転載しておきます。

映画『もうろうをいきる』とは直接関係ありませんが、私がこの映画を観たいとおもった理由ではあります。

 

***2017年7月13日のfacebookノートより***

 

何年か前から岡山市内の哲学カフェに参加してくれている、視覚障害のある人がいる。
彼女にとって初めての会場のときは、最初の2〜3回、バス停まで迎えにいく。
そうして一緒に歩いていると、「道って、目が見える人中心につくられてるんだなぁ」ということに気づかされる。
突然、点字ブロックがとぎれたり、信号機はやたらたくさんあるのに音響装置のない横断歩道があったり、微妙に道がカーブしていたり。
 
そして、彼女には私には見えないものがたくさん見えている。
「ここから、溝の蓋が金属にかわってるね」、「ここから歩道と車道を分けるブロックが消えてるわ」、「ここはちょっと上り坂になってる」、「こんなところに電柱!邪魔だけど、ここまで歩いたっていう目安にはなるかな」etc...
最初、車がたくさん通る狭い道は危ないのではと思って広い道を案内したけれど、なんの凸凹もない広い道のほうが道幅がつかみにくかったり、時々しか車が通らない道よりひっきりなしに車が通る道のほうが車の音で車道と歩道の境がわかりやすかったりするのね。
 
彼女は眼は見えないけれど、なんにも見えないわけじゃない。視覚にたよらない仕方で世界を見ている。ただ、音や白杖から伝わる触覚で世界を捉える彼女と、視覚に依存しがちな私とでは、同じ道でも見え方がずいぶんちがう。
だから、教えてもらわないとどんな道が歩きやすいかわからないけれど、教えてもらうと今まで見ていた世界のちがう姿が見えてきて、面白い。
 
ちがうように見えるけど、それぞれ別の世界じゃなくて、同じ一つの世界なのが面白い。

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視覚情報はたくさんあるけど‥‥‥彼女にこの道はどんなふうに〈見える〉?